「イーロン・マスクのバッテリー自慢も束の間」??
2017年12月1日付けのBloomberg tech電子版より。
オーストラリア南の都市で100megawattのリチュウムイオン・バッテリー・ストーレージ施設の完成を約束通り100日以内で終えたイーロン・マスク率いるテスラ。
今後これが世界の発電・電気供給システム構築のベンチマークとなると言われています(近隣に併設された風力発電施設とgridの併存による電力供給システムなので100%リニューアブル・エネルギーではありません)。
マスクは今回の事業を開始する前「100日以内に完成できなかったら金はいらない」とTweetしていましたが見事に約束を果たしました。
ソーラーや風力発電は現在すでに火力・原子力などの既存の発電システムより安く発電できます。
でも相手は自然。問題は太陽光が得られない夜間や風が止んでしまった状況では発電できないことでした。
場合によっては発電量が受電システムの許容量を超えてしまう時もあり、その場合もシステムを停止します。
そんな、人間の都合に合わせてくれないリニューアブル・エネルギー発電の宿命とも言える発電量の凸凹によってシステムが上手く稼働できないのをアチラでは「curtailment」と呼ぶそうです。
長年、その「curtailment」が、例え発電コストは既存システムより安くなっていてもソーラーや風力発電がエネルギー生産のメインプレーヤーの座を勝ち取れない理由となっていました。
しかし、リチュウムイオン・バッテリーの驚異的な進歩と低価格化により、夜間や風の止んだ発電ができない時間帯でも、大規模なバッテリー・ストレージ施設を設けることによって昼間や風のある時間に充電した電気を常時安定的に安く供給することが可能となりました。
今回は、とうとうひとつの街全体の電力需要がバッテリー・ストーレージにより安定的かつ安く賄える事が証明されました。
(昼間や風のある際はリニューアブルから蓄電、夜間はgrid<=電力会社からの送電>から安い夜間電力で蓄電するので電気代が安くなります)
その意味で今回のテスラの事業が今後のベンチマークになると言えるのでしょう。
(ハワイのカウアイ島など、発電コストが非常に高い離島地域ではテスラのシステムは既に導入実績があります)
しかし記事では、さらにその規模を上回る150megawattの電気供給能力を持つ施設が韓国では(ヒュンダイが事業主)進行中で、完成は来年の2月とのこと。
よって記事のタイトルが、「イーロン・マスクのバッテリー自慢も束の間」。
また、Bloombergの本記事に添付されている動画は、ソーラー発電とバッテリーの進歩&低価格化により世の中が変革される話が非常に簡潔かつセンス良くまとめられているので、興味ある方はぜひご覧になられると良いと思います。
前回のBlog記事「クリーン革命」(The Clean Disruption – Tony Seba)でも本内容に関しての詳細な解説を試みておりますので、よろしければそちらもご覧ください。