アリババのTmall Genie が中国市場でメルセデス、アウディに搭載

メルセデス、アウディ、ボルボ、中国でアリババのスマート・アシスタントと提携しホームエレクトロニクスとの連携を計画。

 

2018年4月24日のBloomeberg電子版記事より

https://www.bloomberg.com/…/alibaba-gets-its-smart-assistan…

Amazon Alexaの中国版、「Tmall Genie」ー 2017年7月に中国での発売&サービス開始がされ現在までに2,000,000台が売れていると言われているスマート・スピーカー。

このボイス・コントロールシステムをダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボの親会社 Z Gらが中国で販売する車両への搭載を予定。

オーナーの音声認識をし、ナビやカーオーディオはもとより、走行中の車の状態の把握、窓の開閉、ドアロック、空調などのコントロールを行うようです。

それ以外でも、例えば車の位置を把握し、帰宅時には自宅との距離が近づくと自宅の冷暖房をスタートさせ風呂を準備したり、、、など色々なサービスを考えているみたいです。

「オフィス、自宅、そして車に乗っている時間も重要な生活環境として捉える」とはアリババ開発担当者の談。

蓄積されていく膨大なデーターとAIによる自己学習&進化

益々便利になる反面、これによって利益を享受できる人々はほんの一握りと言われています

「データの覇者が世界の覇者」が益々現実味を帯びてきているようです。

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テスラがEV車で成功した理由(後編)ー Marc Tarpenning

クルマは自己の価値観を表明するためのツールなんだ。

Marc Tarpenning – テスラ共同創業者

 

 

前編では、テスラ設立の理由が現代の諸問題の解決が目的であり、それらの筆頭が脱・石油にあったことと、その解決手段がEVの生産であったことが解説されていました。

今回の後編では、EVのマーケティングを成功に導いたインサイトがどのようにして導き出されたのかを解説します。

 

***

 

マーケティング戦略を構築する上で彼らが最初に設けた問は;

EVを買う人など存在するのだろうか?
  • どのような人がEVを買っているのか?
  • なぜ買うのか?
  • り良いものに移行する可能性があるのだろうか?

 

 

市場機会
  • 米国内では毎年約1,700万台ものクルマが販売されている
  • ニッチなスポーツ・カー市場ですら$30億ドルの市場規模を有する
  • 2003年度のEV販売数はゼロ!

 

マーク:「アメリカ国内では年間に1,700万台ものクルマが売れている。その中で僕らが起業した分野の2シーターの高級スポーツカーの市場規模は$30億ドルもあるんだ。言っておくけどポルシェの安いヤツとかを含まない数字でだよ。みんなクルマを買うのが好きなんだ。ここに大きな市場機会が存在しているのは判っていた」

「そして、この領域にはEVが1台も存在していない–ゼロだった(2003年当時)。少なくとも米政府の発表した統計では全く発見することができなかった」

「では2003年当時、なぜEVは市場を獲得できていなかったのか?」

2003年当時に発売されていた各種EV

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マーク:「なぜこれらのEVは売れなかったのだろう?」(笑い声とともに観客から「ゴルフカートみたいでカッコ悪いから!」と言う声があがります)

マーク:「そう、とってもカッコ悪い」

「それともうひとつ、EVはコスト効率が大変良いので、すべてが経費を節約する目的の省エネ・カーとして、最もローエンドな市場をターゲットにしていたんだ。胸がワクワクするようなモノじゃなかったんだ。決して人々が欲しくなるようなクルマじゃなかった、という事さ

「僕らが投資家(VC)相手にテスラの起業アイディアをプレゼンしていた当時、彼らは決まって『で、この車はどのくらい乗るとモトが取れるのか?』と質問してきました。でもね、連中はみんな高額な特注のポルシェとかに乗っているんだよ。そこで僕が『じゃぁ、あなたのクルマはいつモトが取れるんですか?』と訊き返すと『いや、モト取ろうなんて思って乗ってるんじゃない。これはそう言ったものとは違うんだ』とか言うんだ。僕らの目指していたのも同じ世界なのに分かちゃない連中だよね!(笑)」

 

 

他のEVはどうなったのか?

マーク: 「テスラ以前にもEVは存在していた。主にカリフォルニアがその生息場所だった。理由はゼロ・エミッション義務という規制が施行され、カリフォルニア州で販売する全ての自動車会社はEVを生産する義務を負わされていたからなんだ」

「どれも実際には使い物にならないような代物ばかりだったけど、トヨタのRAV4とGMのEV-1だけは例外だった」

 

本来であれば、この時点で自動車会社は将来に向けて素晴らしいEVの開発と生産・販売が可能だったはずなのに、実際に彼らがやったのは議会に圧力をかけてゼロ・エミッション法案を廃止に至らせました。

すると文字通り一週間後には全ての自動車会社がEVの生産を中止してしまいました。

でも、その中の2車種、RAV4とEV-1には熱烈な顧客が存在していたのです。当時、両車種はリースのみで販売はされていませんでした。RAV4の熱烈なユーザーグループは自分たちのリース車両の購入をトヨタに懇願しました。

米国トヨタは彼らの願いを聞き入れ、将来的にサポートが不可能になることを顧客が了承することを条件に、希望者にはEV-RAV4を販売したのです。

スクラップとなったEV-1

ところがGMは−これはとても有名な話ですが−同じような顧客の願いを却下し、EV-1の熱烈なユーザーグループからの訴訟をも退けて強制的にクルマを撤収してスクラップにしてしまいました。

マーク: 「顧客が愛してやまない自社製品を、強制的に取り上げて目の前でスクラップにする企業が存在するなんて信じられないよね!(会場からは笑い声)それがGMなんだよ」

「覚えてるだろう?金融危機に際して1社は倒産し、もう1社は倒産しなかった。理由が明白だね(笑)」

「でも、この事例から僕らは色々なことが学べたんだ!」

「GMにとって長期的にEV-1の生産を継続するだけの十分な顧客数はとうとう達成できず、それが生産中止の理由だ(ワシントン・ポストに掲載されたGMのスポークマンの声明 2005年)」 ”要はEV-1は技術オタクと環境保護主義者にしかアピールできなかった”

マーク:「僕もマーティンもこのワシントン・ポストの記事を読んで怯んだよ。だって僕ら自身が、それこそ環境保護主義者の技術オタクだったからね(Tree Huggers and Geeks)。EVなんて僕らのような少数層にしか受け入れられないんじゃないか?って危惧したよ」

「だからこそ、自動車市場のどこにDisruptionのチャンスがあるかを綿密に探る必要があったんだ」

 

長年の熾烈な競争を勝ち抜き、切磋琢磨を重ねた自動車産業は高度に効率化が進んでいました。そんな業界でチャンスを掴むためには並外れて斬新なものがなくては不可能です。

ヒントは以下の事実にありました。

 

顧客層の意識は変化している。 彼らは経費節約を目的としてEVを選んでいる訳ではなかった!
顧客の意識は変化している
  • EV-1の顧客層の平均年収は$25万ドル以上(約2,700万円)
  • プリウスは、より上位車種のレクサスからの乗り換え層が多く見受けられた
  • 当時のガソリン価格は$1.50/Gal(リッター50円以下!)という低さ → 燃費の節約が目的ではないのは明白!

マーク:「EV-1の顧客層を調べて見ると、彼らは米国で最も高級車が数多く売れているカリフォルニア州の中でも上位の富裕層だった。住所を見るとベルエア、マリブなどの高級住宅地ばかり。小銭を惜しんで節約に励むような階層でないのは明らかだった」

「その2年程前にプリウスが発売されていた。トヨタはエコ・プラットフォームと呼ばれる最廉価版の車体を使ってプリウスを開発したんだ。カリフォルニアでプリウスが発売された途端、プリウスはレクサスの市場を奪ってしまった。これはトヨタにとっても計算外だったはずだ。思惑とは異なり、この階層の人々がプリウスに買い換えた理由は節約ではなかったんだよ」

「彼らはガソリン代より多くの金をスターバックスのラテに費やし、レクサスからプリウスに乗り換えるような人々だ。ほら、パロアルトの駐車場ではポルシェ、プリウス、ポルシェ、プリウスと、まるで交互に並んでいるような状況だったのを覚えているよね?(笑)」

 

クルマは自己の価値観を表すためのツール

人々がクルマ(高価なスポーツカーやEV)を選ぶ理由
  • 価値観の表明
  • 正しい行為の表明
  • 運転を楽しむため
  • 節約は目的ではない

マーク:「最高速度が何100キロも出せるフェラーリだろうがシリコン・バレー界隈ではせいぜい50マイル、良くても80マイルで走ることができればラッキーだろう?いくら高性能車だからって目的地に速く到着できる訳ではない。どんなクルマもみな同じ場所に向かい、みな同じ速度で走る。わざわざ高価なクルマを選ぶ理由は単純な機能価値の他に存在するのは明白だ」

「実は人々が高価なスポーツカーやプリウスを選ぶ理由は、自己の価値観を表すためだ

「フェラーリに乗るような華やかな人、ボルボに乗る堅実な人、というイメージに皆んな金を払っているんだ。プリウスを選ぶ理由は、環境を大事にする善行というものを表明している」

「それにもうひとつ、スポーツカーを選ぶ理由は、運転自体を楽しむため!」

 

長年、多くのEVが市場で成功できなかった理由は「EV=節約」の呪縛から逃れられなかったマーケティングの失敗にあったのです。

彼らが発見したインサイト、それは自己表現と運転の楽しみこそが人々がクルマに求める価値である、ということでした。

 

バッテリーの技術革新
リチュウム・イオン・バッテリーの技術革新とともにEVの実用化が現実化した。

歴史ある自動車産業ですが、EVが長年成功できなかった理由のひとつにバッテリー性能の限界というものがあったました。

ところがデジカメやPCの普及とともに家電用の汎用バッテリーの技術革新が進みました。

マーク:「僕もマーティンも家電製品の開発の経験があった(電子書籍の開発)。そのおかげでリチュウム・イオン・バッテリーの将来性に早くから目を向けることができたんだ。ムーアの法則とまでは行かなかったけど、毎年8%〜10%の進化を遂げていたんだ。低価格化と高性能化はどんどん進んでいた」

 

18650型Li-ionバッテリー
18650型汎用バッテリーの大量使用
  • Li-ion唯一の汎用バッテリーであった
  • 複数企業によって大量に生産されていた
  • 1台の車で数千個を使用
  • テスラはバッテリーの大量購入者として優位な購入条件を獲得できる

マーク:「18650型のリチュウム・イオン・バッテリーの存在は以前から知っていた。全てのラップトップPCやビデオカメラに使われていたんだ。僕らはこれを大量に使用することを試みた。1台のテスラ・ロードスターでは7,000個が使われる。モデルSでは確か12,000個程も使われる。」

「僕らのような新興の弱小企業にとって有利だったのは、1台の車に搭載されるLi-ionバッテリーの数が、1200~1300台のラップトップPCに用いられる数と同等だったことなんだ。数千台の車を販売すれば、それは何百万台ものノートPCを売るのと匹敵する数量のLi-ionバッテリーが売れる。つまり突然、僕らの会社が世界市場で最大のバッテリー購入企業となった。最良の条件でバッテリーの仕入れが可能になったんだ

 

Disruption Possible!

成功の可能性を確信!
  • バッテリーの確保
  • 消費者の脱・化石燃料に向けた意識
  • コンピュータと動力エレクトロニクス(電気モーター)の問題解決
  • 車両製造のアウト・ソーシング先の決定→英国のロータス社にて車体製作

 

さぁ、Focus Groups(定性調査)の時間だ!

でも、実はFocus Groups(以下FG)を実施する意味が無い!?
  • FGが最も威力を発揮するのは、特定のものの順位付や確認の際。
  • 「どんなクルマが欲しいか?」のような問いは無意味。

マーク:「かつて僕らが電子書籍のe-Bookを開発した際、FG調査を実施した事がある。僕らがデザインした機器はあまりにもスタイルが洗練され過ぎて誰もスイッチの場所が見つけられなかった。 FG調査の意味はこういう部分にあるんだ。どんなクルマが欲しいか?なんて問いには実は誰も答えられないんだよ」

 

かつてヘンリー・フォードが「どんな乗り物が欲しい?と人々に訊いたとしても、彼らは『より速い馬かな』としか答えないだろう」と言ったそうです。イノヴェーションのヒントはあったとしても、FGでは答えは見つからない、という訳です。

 

どんなEVが実現可能なのか?

  • 質量は?
  • 加速は?
  • 馬力は?
  • 航続距離は?
  • コストは?

マーク:「そこで僕らはスーパー・コンピューターを駆使して検証した–というのは冗談で、表計算ソフトと高校程度の物理の知識があれば十分なんだ!」

 

Spreadsheets and high school physics (表計算ソフトと高校程度の物理で十分!)

Spreadsheets and high school physics

  • Force=質量*加速度
  • 加速度=Δv/Δt
  • Power=トルク*2π*回転スピード
  • バッテリー出力は207Wh/kg
  • バッテリー蓄電量は1800mAh

 

マーク:「判明したのは、石油は全く必要ない、という事実」

マーク:「平均的なカリフォルニアの環境なら、このイラストのようにEVと太陽光パネルを設置したガレージがあれば化石燃料に一切頼らない生活が現実のものとなる。ガレージの屋根に設置するパネルの数なんてこの程度で十分なんだよ!」

 

「もうひとつ、EVであれば素晴らしく楽しいクルマが作れる、という事実が確認できたんだ!」

EVであっても楽しいクルマは作れる!

  • 0-60mph: 4秒以内
  • 効率(発電から消費まで): 135mpgと同等
  • EPA基準の航続距離: 200マイル以上

マーク:「誰もが速いクルマが好きなんだ。最高速度は口プロレスの際には有効だけど現実的には0-60mphの加速の方が日常的に体感できる性能だ。当時最高の性能を誇ったあらゆるスーパー・カーの0-60mphの加速性能はほぼ4秒だった。だから僕らの作るクルマは4秒以内と、どれよりも速い加速性能をモノにしようと考えた」

「物理は僕らに味方した。電気モーターは他のどんな内燃機関よりも優れた加速性能を有するからね」

「そこから先はシリコン・バレーを舞台とした仕事となった」

 

***

 

*講演ではこの後、テスラ・モーターズ起業に際しての資金集めと企業の発展過程が時系列で解説されていますが、今回その部分は省略させて頂きました。 万が一要望があるようでしたら機会を見つけて取り上げて見ようと思っています。

最後に講演後半部分で行われた質疑応答の中から重要と思える部分を紹介しておきます。

 

なぜスポーツカー生産から始めたのか? 販売戦略はどのように考えたのか?

マーク:「まず、ハイエンド・スポーツカー・マーケットは価格弾力性が低い点に注目した。優れた加速性能に対して高価な値段付けがなされ、それが顧客に受け入れられている。よって僕らの考える高性能EVをもって初期参入する市場として大変都合の良い領域だった。よりコスト管理が厳しく、競争も熾烈な量産の大型高級セダンの領域に最初から参入できるとは考えていなかった」

「もうひとつは、マーケット・ボリュームが小さい為、僕らのようなスタート・アップ起業にとってはコントロールが比較的容易な点だ。シリコン・バレー周辺、LA、マイアミ、ニューヨーク、と販売戦略やアフター・サービスなどを考える際にも地域を限定して把握できるからね」

「さらに、僕らが導入したユニークな手法は直販システムだ。調査では、人々は車を買う際にディーラーとコンタクトを持つ事に大きなフラストレーションを感じていることが判明した。お金を払っているのに、できれば関わり合いたくない連中(カー・ディーラー)と関わらざる負えない既存の販売システムは何かが間違っている、そう思わないかい?」

「冒頭に述べたように、僕らの究極の目標は脱・化石燃料社会の実現だった。まずはハイエンドのスポーツカー・マーケットでポジションを作り、そこで人々のEVに対するパーセプションの変革が一番目の目標だった。『成功したらポルシェ』、じゃなくて『成功したらテスラ』という具合にね

「ハイエンドのスポーツカーを売って稼いだ金を、次はもっと市場規模の大きな高級大型セダンの開発と製造・販売の資金として投入した。ロードスターの何十倍もの市場規模だ。競争は熾烈になっていく。幸いテスラのモデルSはこの領域で大成功している」

「分岐点となるのはモデル3だ。より多くの人々が購入可能な価格設定のこの車種はアウディのA3とほぼ同価格帯だ。モデル3が成功すれば世の中の流れは一気に変わる」

***

後編のまとめ

  • クルマを売るのが目的ではなく、根源的な目的は脱・化石燃料
  • 自動車業界に新規参入する際には、まずはニッチなハイエンド・スポーツカー市場からスタート→ 人々にEVに対するパーセプションの変革を促す。
  • 稼いだ利益を、より大きな大型高級セダン市場への参入に投下(Model S)→EVへのパーセプション変革を定着させる。
  • セダン市場で獲得した利益は、さらに大きな市場であるコンパクト・カーの領域に投下(Model 3)→ EVがメイン・ストリームとなり、脱・化石燃料社会の実現が現実となる

 

 

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!

 

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テスラがEV車で成功した理由 (前編) ー Marc Tarpenning

Tesla 共同設立者 Marc Tarpenning

脱・石油 – それこそがテスラを起業した理由なんだ。

Marc Tarpenning – テスラ共同創業者

 

2018年現在、アメリカでは「世界で最も重要な自動車会社」とまで言われるようになったテスラですが、今回は創業者のひとりであるMarc Tarpenning が解説するテスラ成功理由の分析です。

今回は内容が濃いので、前編「なぜEVを製造することにしたのか」と、後編「誰がEVを買うのか」の2部構成にての解説になります。2017年に実施されたProduct Leader Summit にてMarc Tarpenning が行なったプレゼン動画を基にしています)

 

***

 

次のビジネスは世の中の問題を解決する事!

テスラは、Martin Eberhard とMarc Tarpenningという2名のエンジニアによって2013年にシリコン・バレーに設立されました。

彼らはそれ以前にRocket eBookという、現在のタブレット端末の祖先となるようなデバイスを用いて本が読める電子書籍サービスを開発し、2000年にその会社を$187,000,000で売却します。

潤沢な資金を得た彼らが、次なる事業を手がける際にまず最初にやったのは、現在人々が直面している諸問題を列挙することでした。それらは;

「世の中は深刻な問題に満ち溢れている」
  • 水不足
  • 環境
  • 資源枯渇
  • 農産物生産
  • アメリカにおける格差の拡大
  • 世界の貧困問題

そして選ばれたのが石油でした。

 

石油こそが諸問題の根源

なぜ石油が諸問題の筆頭として選ばれたのかをMark Tarpenning(以下、MT)は以下のように説明しています。

「石油 - それは問題の宝庫!」

MT:  「石油ってスゴイんだよ! だってあらゆる問題の宝庫だからね」

「ざっと挙げると、CO2排出による環境問題、資源の利権をめぐっての政治問題や安全保障の問題、エネルギー資源の枯渇。つまり石油への依存が解消されれば、これらの問題すべてが劇的に改善されるということなんだ」(相方のMartin Eberhardもあるインタビューで「僕は当時のブッシュ政権の外交政策に大いなる不満を抱いていた。脱・石油エネルギーを次の目標に選んだ理由のひとつがそれだった」と述べています)

石油消費の7割はクルマによるもの

「そこで僕らはアメリカで消費されている石油の内訳を調べて見た」

「石油消費の主役はクルマ」 Mark Tarpenning のプレゼン資料より

「約70%が交通・運輸の燃料として消費されており、そのうちの50%が乗用車やピックアップ・トラックの燃料として消費されていたんだ」

「脱・石油依存を目指すなら、まずは乗用車市場に目を向けるのが自然の成り行きだった」(注:テスラはシリコンバレーで起業された初の自動車会社となりました)

以下、動画でMTがプレゼンする流れに沿って解説していきます。

 

EV – その他オルタナティブとの比較

「マーチン( 協同経営者のMartin Eberhard)も僕も、電気自動車こそがその解決策だと確信していた」

「そして僕らは、電気以外の代替エネルギーで走る方式の自動車との比較検討を徹底的に行った。せっかく起業しても、もっと優れた方式の競合相手が出現してしまえば市場で敗退してしまう。そんな事は誰だって避けたいからね」

以下は石油以外の代替エネルギー候補として挙げられたもの;

「化石燃料以外の選択肢は?」 ガソリンエンジンの代替となる動力源の候補
  • バッテリーと電気モーター
  • バイオ・ディーゼル
  • クリーン・ディーゼル
  • 圧縮天然ガス
  • エタノール
  • ハイブリッド
  • 水素エンジン
  • 水素燃料電池
  • メタノール
  • 充電併用ハイブリッド
  • 太陽電池とモーター

 

FCV(水素燃料電池車)

MT: 「覚えているかな?この時代(2003年頃)、FCV(水素燃料電池車)が盛んにもてはやされ投資がこの領域に集中していた」

「だから僕らもFCVは特に注意深く吟味したんだ」

「燃料電池はどうだろう?」 FCV(水素燃料電池車)の概念図。水素を電池内部でイオン化させることによって電気を作り出す。水素自体は単体で自然界に存在しないため水素ガス生成には膨大なエネルギーが費やされることになる。
FCVとEVの効率比較。FCVの場合、電気エネルギーから水素ガスを得る段階で最善でも25%にまでエネルギーが減少。EVは85%にとどまる。

でもFCVの効率は最もオプティミスティックな理論値で計算したとしても、せいぜいEVの1/3程度だという事が判明した。

その上、水素を供給するスタンドを世の中に広めるためには膨大なインフラ投資が必要になる。

そんな非効率なものが日の目を見ることなんてあり得ない、というのが僕らの結論だった。

from ‘Inside EVs’ Hydrogen vs. EV   EVとFCVのインフラの比較ー圧倒的にEVの方がシンプル!

 

エタノール燃料車

もうひとつがエタノール燃料だ。

特にバイオマスによって生産されるエタノールに注目が集まっていた。

「エタノールはどうだろう?」 エタノール車の場合の効率はEVの約1/2

エタノール車の効率はEVの半分程度だった。でもバイオマスからエタノールを生産する複雑な過程を経るよりも、原料(家畜の糞や木材等)をそのまま既存の火力発電所で燃やして発電しても効率は同等なんだよ!

よってバイオマスによるエタノール生産にも将来性などは見いだせなかった。

トウモロコシを原料にしたエタノール生産の考察

さらにアメリカは、エタノールの原料としてトウモロコシを栽培する唯一の国なんだ。それも調べてみた。

交通エネルギーの50%をエタノールで賄う場合に必要となるトウモロコシ畑の面積(CIA資料)

上の図は交通エネルギーの50%をエタノールで賄う場合に必要となるトウモロコシ畑の面積なんだけど、これを実施するとなると他の農作物を作る余裕がなくなる。するとアメリカは自国で必要な食料を100%輸入に頼らなくてはいけなくなる。

当然こんなのは問題外だった。

「セルロース エタノールはどうだろう?」 Switch Grass(雑草の一種)を用いたCellulosic Ethanolの場合の考察。

Switch Grass (雑草の一種)から生成されるセルロース・エタノールはどうだろう? 必要な栽培面積はトウモロコシの1/4ほどに改善されるけど、それでもまだ大幅な食料の輸入が必要となる。

 

耕作地と同じ面積に太陽電池を設置したら?

でも、トウモロコシ栽培に必要とされる耕作面積に市販の太陽電池を設置したらどうだろう? そこで作られた電気をEVに充電して走らせれば、なんと32倍もの航続距離が得られるんだ。

つまり、たとえ今後どんな新技術が登場しようとEVの敵ではないという結論に僕たちはたどり着いたんだよ。

「Well to Wheel Efficiency」 燃料が採掘されてから動力になるまでの間の効率比較。グラフ左下がガソリン。効率の悪さに注目。

ちょっと付け加えておくと、たとえEVの電気を全て石炭による既存の火力発電で賄ったとしても、それでもまだエネルギー効率は現在のガソリン車より良いんだよ!

(以下後編)

***

 

2018年1月現在、世界のEV化に向けてのシフト・スピードは日々加速しているようです。でも2013年当時、EVなどは一般には注目されていない領域でした。

マーチンとマークの2人のエンジニアがEVの将来性に目を向けた理由は、「世の中の問題をテクノロジーで解決する」という非常にポジティブな精神に基づいたものでした。

金儲けや数字のゲームに明け暮れる経営者や起業家たちと一線を画す彼らの立ち位置に気がつくと思います。

人々がテスラに惹かれるユニークネス、実はこんなところに根源があるではないでしょうか?

単なるプロダクトではなく、所有することで希望ある未来が目の前に広がっていくような気持ちになれる − テスラ・オーナーはそんな想いを共有しているのではないでしょうか?

後編「EVは誰が買うのか?」にて、人々の「想い」の部分をどのようにしてデザインしていったのかを解説してみたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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後編に進む→

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テスラの成功理由-マーク・ターペニング(テスラ・モーターズ共同設立者)

テスラを創業したふたり。Marc Tarpenning(左)、Martin Eberhard

「人々がEVを買う一番の理由はガソリン代の節約なんかじゃない。社会正義の実践という意思表明にあるんだ」

マーク・ターペニング

 

 

「現在アメリカで一番クールな自動車会社」とまで言われ、世界のEV推進の流れを一気に加速する起爆剤となっているテスラですが、その成功の裏には綿密な市場環境予測と商品のポジショニング、そしてエンジニアの熱い想いがあったのをご存知でしょうか?

EV自体は新しいものではなく、実は初期の実用EVは既に1800年代の中頃、充電可能な鉛蓄電池の発明とほぼ同時に誕生しています。

しかしEVの販売数は1910年代をピークに、その後は徐々に下降線を辿り市場から姿を消します。理由は大量生産方式で圧倒的な価格競争力を持ったT型フォードに敵わなかったから、というのが通説です。

再びまたEVに注目が集まるのは近年になって地球環境問題に人々の関心が集まるようになってからです。

ガソリン自体のエネルギー量は非常に高いのですがエンジンの中で燃焼されて動力エネルギーとして変換された場合の効率は良くても20%程度で、残りのエネルギーは大量の熱として逃がしてしまいます。

翻って、電気モーターは90%以上のエネルギー効率を有しており、単にエネルギー効率という観点では圧倒的にEVの勝利です。

しかしながら、長年ガソリンやディーゼル内燃機関を搭載した車に取って代われるようなEVが登場することはありませんでした。

その理由は、充電式の電池のコストが非常に高かったことに加え、充電容量に限界があり航続距離が短かったのと、充電に長い時間を要する、という3つ部分がハンディとなっていたからです。

また、市場に登場したほぼ全てのEVは省エネ・カーとしてのポジショニングで開発されていました。

要は燃費のみならず、車両本体の値段も可能な限り低く抑えることに主眼が置かれた設計だったのです。

左右の写真は2003年当時市場で販売されていたEVの例(M.Tarpenning プレゼン資料より)

 

 

 

 

 

車の魅力を語る上で最も重要なのが「スタイリング」と「性能」です。

省エネに主眼が置かれて開発された多くのクルマたちは、決して人々をワクワクさせるような魅力を持ってはいなかったのです。

テスラ・モーターズを設立したMartin Eberhardと Marc Tarpenningのふたりのエンジニアが注目したのがこの部分でした。

 

「人々は速いクルマが好きなんだ」(M.Eberhard)

 

「いくら化石燃料から脱却できるEVだと言ったところで、ゴルフカートのようなカッコ悪くて遅いクルマだったら人々は興味を示さないだろう? ほとんどのEVが失敗した理由はそこなんだ」

 

「でも、ICE(Internal Combustion Engine= 内燃機関)が古臭く見えてしまうような圧倒的に高性能で魅力的なEVなら、人々は喜んでそちらに乗り換えたくなるだろう? そうでなくては長年ICEで培われてきた人々のクルマに対する意識を変えることなどできないと思ったんだ」

「僕たちの創り出したクルマは0-60mile加速では他のほとんどの量産高性能スポーツカーたちを凌駕する。これがEVに対する人々の意識を変革する強力な説得材料となったんだ」

 

さらに、彼らは当初GMによって1996年から1999年の間の3年間だけリースのみで存在していたEV1という、当時カリフォルニアではそこそこ人気のあった電気自動車の顧客層分析を行いました。

EV1

すると、EV1をリースした顧客層というのは、ベルエアなどの高級住宅地に家を持ち、年収が$250,000以上もあるような富裕層だったことに気がつきました。

この人たちはガソリン代を気にするような人々ではありませんし、自宅のガレージにはEV1以外にもポルシェ911が並んでいたりします。

さらには、マークの住むシリコンバレー周辺ではトヨタのプリウスが大人気でした。

「どんな人がEVを買っているのだろう? そう思って僕たちは顧客層を注意深く観察してみた」

「ご承知のようにパロアルト周辺の駐車場には、ポルシェ、プリウス、ポルシェ、プリウスと、互いに並ぶようにしてプリウスとポルシェ911の姿をよく見かける。そしてこれはトヨタの大誤算なんだけど、プリウス・オーナーの多くはもっと高価なレクサスからの乗り換え組みなんだ。彼らはガソリン代よりもスターバックスでラテに費やす金の方が多いような連中なんだよ(笑)」

「人々がEVを選ぶ際の動機は、『自分はクリーン・エネルギーの推進を応援する人』という自己表現欲求にあったんだよ」

 

そこからテスラ・ロードスターの開発が始まりました。

マーチンとマークのふたりのエンジニアが特に優れていたのは、人々がワクワクするような魅力的で高性能なEVを作るという、それまで大自動車メーカーも試みることのなかった市場のバキューム・ゾーンに着眼し、そこに果敢にチャレンジした点だと思います。

それは単に技術的な側面の開発だけにとどまらず、「クルマ好きの気持ち」というエモーショナルな部分にまで深く踏み込んだ包括的なライフスタイル提案となっています。

ざっと挙げると; カー・ディーラー(古色蒼然とした古い慣習の下で多くの顧客層が不満を抱いている部分!)を介さない直販体制*や、「スーパー・チャージャー」と名付けられた急速充電ステーションの全国ネットワークの構築、オーナーが自宅ガレージで充電するための「パワー・ウォール」と呼ばれるリチュウムイオン・バッテリーのストーレージ・システム、さらには自家発電を可能にするソーラー・パネルの販売と設置まで、非常に高品質な製品とサービスの提供を実現しています。

言い換えれば、彼らが産み出したものは、EVを中心に据えたオプティミステイックなライフスタイルの提案でした。

コスト・カットのための妥協の産物のような存在だった従来のEVには未来へのペシミスティックなムードが漂います。

しかしテスラが提案するEVからはオプティミスティックな未来が感じられます。

人々が競ってテスラを手に入れたがる理由が実はここにあるのです。

こんな自動車会社は近年どこにも存在していませんでした。

 

* * *

 

次回はMarc Tarpenningの講演から「テスラがEVとして成功した理由」を詳細にみて行こうと思います。

 

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*Teslaの直販体制: 既存のディーラーの存在を脅かすため、各方面で波紋を生み出しています。ユーザー利益が最優先とは行かない局面も多々あるようです。

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「クリーン革命」 The Clean Disruption – Tony Seba ②後編

Tony Seba      https://tonyseba.com

2030年までに、すべてのエネルギーと自動車・交通システムは根底から変革される。

Tony Seba(スタンフォード大講師)

 

前編ではテクノロジーのexponential(指数関数的)な進化と、それらの convergence(収束)が現代のDisruptionを引き起こす話をしました。

後編ではエネルギーと交通の分野において、それそれのexponentialな進化と、それらのconvergenceがどのような Disruptionを引き起こすのかを詳細に見ていきます。

 

 

■「Clean Disruption」を支える4つの領域
「Clean Disruption」を支える4つの領域でのexponential 進歩とconvergence
  1. エネルギーのストーレージ
  2. EV
  3. 自動運転車
  4. ソーラー

1、エネルギーのストーレージ

■リチュウムイオン・バッテリーの需要拡大がコスト・ダウンと性能の向上を加速している

Seba氏: 「リチュウムイオンバッテリーのコストは1995年から2010年頃までの15年間にわたって毎年14%ずつ安くなっていました」

「2009年頃を境に自動車業界とエネルギー業界がリチュウムイオン・バッテリーをストーレージとして使用し始めると、需要と投資の拡大によって2010年から2014年のコストカーブは年間16%減に向上しました。最近はさらにそれが加速されています」

2009年頃を境に自動車とエネルギー・ストーレージにリチュウムイオン・バッテリーが使われ始めるとコスト・ダウンのスピードは年間-14%から-16%に加速された

そのコスト・カーブのイメージは以下のグラフになります。

リチュウムイオン・バッテリーのコスト・カーブ

リチュウムイオン・バッテリー以外の他の方式を試みても、このコスト・カーブを凌駕するものでなくては淘汰されてしまいます。

 

TeslaのGiga Factory。この工場一つで世界で生産されていたリチュウムイオン・バッテリーの総量を上回ってしまう
米ネヴァダ州に建設中のテスラのギガ・ファクトリー。

2017現在、テスラがネヴァダ州に建設中のギガ・ファクトリーが完成すると、この工場ひとつの生産量それまで世界で生産されていたリチュウムイオン・バッテリーの総量を上回ります(まだ完成はしてませんがすでに稼働を開始しています)。

原料のリチュウムはネヴァダ州周辺で採掘され、そのまま工場に運び込まれてバッテリーが製造されます。それは同じ工場で生産されるTesla Model3に搭載されて完成車となり出荷されます。

原料の加工から最終的な製品であるEVの出荷までをワン・ストップで行うことによるコスト・ダウン効果は約30%〜50%。

さらにはバッテリー性能も毎年5%づつの向上が期待できるとイーロン・マスクは公言しています。

テスラと、それ以外の企業も含め、大規模な工場が世界各地で建設されつつあります

 

Tesla Power Wall / Power Pack。 すでにコスト・カーブ予想を上回る性能を実現している

加えて、Teslaが販売する個人宅用のバッテリー・ストーレージPower Wallは$350/kWh 、業務用のPower Packになると $250/kWhを実現しており、Seba氏のコスト・カーブ予想を上回る性能をすでに2016年時点に実現しています。

 

 

■ ストーレージ・サービス  新たなビジネスモデルがDisruption をもたらす

リチュウムイオン・バッテリーのコスト・ダウンと性能向上は新たなビジネス・モデルによるDisruptionを生み出します。

リチュウムイオン・バッテリーによるストーレージ・サービス。ピーク時の電力をストーレージから賄えば電力会社が請求する電気料金よりも電気代を低く抑えることが可能になった。

自宅や店舗にリースで設置したストーレージ・サービスの台頭により、電気代金の安い夜間に電気を貯めておき、電気代の高い昼間に蓄電した電気を使うビジネスが成長しています。

従来の電力会社(Centralized Generation)が設定する電気料金は、顧客が普段使用する電気の総量のみでなく、ある瞬間に消費するピーク電力の大きさによって料金体系が段階的に決定されています。

普段はあまり電気を使わなくても、たった1回でも瞬間的に大きな電力を消費する場合は高い料金レートが適用されてしまいます。

バッテリーによるストーレージを使えば、電気料金の安い夜間に蓄電しておき、ピーク電力が必要な際にはバッテリーから供給される電気を使うことで電気料金を安く抑えることが可能になります。

上の図は、アメリカにおけるバッテリー・ストーレージ利用の際の電気代の比較(月間)。

濃い線で囲まれた部分は、2020年には24時間すべてバッテリー・ストーレージによる電力供給を行なった際の価格が$36.8になることを表しています。

例として、アリゾナ州の電力会社の供給する電気料金との比較が述べられています。

アリゾナ州公営の電力会社の料金は、昼間のピーク時は$49.5ですが夜間は$0.05と圧倒的に安くなります。

バッテリー・ストレージは約4時間の充電で翌日の電力を賄えます。料金の安い夜間電力を使えば、上の表の単価で計算すると1日の電気代は$0.2(20セント)。ひと月の電気代がたった$6.00強で済んでしまうことになります。

さらに、このビジネル・モデルが普及すると、以下の理由から従来型の電力会社は業態を大きく変えざる負えなくなります。

電力会社の発電施設は年間のピーク時の最大需要に合わせた規模で建設されています。でも、実際にピークの最大電力需要が発生するのは年間通じてもほんのわずかの時間です。

発電施設の稼働状況。フル稼働するのはほんのわずかの時間。

上の図は、発電能力がピークに近い13,189MWから9,000MWの間を赤色の四角で囲ってあり総出力の32%程になります。

縦軸が発電出力、横軸が時間なので、68%以上に発電施設を稼働させている時間は年間で517時間、5.9%程です。

上のグラフの拡大。赤色で囲った四角の部分は年間で517h。ピーク時の13,001MW~13,189MWの出力を行なっている時間はわずか7h。発電施設はこの7hのピーク電力を生み出す規模の設備を維持する必要があります。

 

遠隔地にある発電所から電気が送られてくる際、電線等の抵抗により約30%の電力が失われています。これらのコストはすべて電気料金に上乗せされています。

自宅の屋根に設置したソーラー発電と組み合わせれば、送電ロスもほとんど問題になりません。

このように、リチュウムイオン・バッテリーの進歩とコストダウンと、それによって新たに登場したバッテリー・ストーレージ・サービスは、従来型の電力会社の存在を根底から揺さぶりはじめているのです。

 

 

2、EV

2013年、米モーター・トレンド誌が選んだその年のベスト・カーとしてTesla Model Sが選ばれました。EVという枠に限定したものではなく、その年に登場したあらゆる車の中からModel Sが選ばれたのです。

Tesla Model S
Tesla Model Sは 2013年度の「カー・オフ・ザ・イヤー」に選ばれました。得点は100点満点中の103点

つまり、トップ・クラスのEVの性能はガソリン・エンジンを積んだ高性能車を凌駕するレベルに達しています。

問題となるのは価格で、最下位グレードのModel S 75でも米本国価格で$69,500(2017年現在)、最上位グレードの Model S P100D はフル装備で$160,000 という大変高価なクルマです。最上位グレードを日本で購入しようとすると約2千万円近い予算が必要です(Teslaは2017年より本国価格で約$35,000の「一般ユーザーにも手の届く」価格帯のModel 3の予約発売を開始しています)。

 

Seba氏は、以下のグラフで一般ユーザーにもEVが買いやすい価格にまで下がる時期の予測をしています。

EVのコスト・カーブ。2020年にはEVは米国のガソリン・エンジン車の平均的価格を下回る。

Seba氏:「一般的米国人の新車購入価格の平均は約$33,000です。2020年にはEVの価格はそれを下回ります。ポルシェ911の性能がビュイック(アメリカのカローラ?)の値段で手に入るのです」

「内燃機関(Internal Combustion Engine、 略してICE)で走る車はエンジンやトランスミッションなどの可動部品が2,000以上あります。EVの可動部品は極端に少ない。よってメインテナンス・コストは比較にならないほど安く済みます

 

■ EVがICE車を凌駕する理由は以下の4点+1

  1. エネルギー効率の良さ(ICE: 17.2% 、EV: 90~95%)
  2. 燃料代の安さ。EVはICE車の1/10
  3. 機械部品点数が少く維持費が安い
  4. 走行性能、特にゼロからの発進加速が圧倒的に優れている

充電インフラの拡充。Teslaや日産が展開するチャージ・ステーションの拡大。特にTeslaの展開しているチャージ・ステーション「Super Charger」は米国内止まらず、ヨーロッパや中国などを中心に世界の主要都市で急速に数を増やしています。2017年現在、米国のTeslaは自社の顧客に対してSuper Chargerの使用を無料としています。

*補足)イーロン・マスクは「エンジンを積まないEVは車体のフロント部分を緩衝部として使える。そのため、衝突の際の安全性は通常のICE車と比較すると圧倒的に高まっている」と言ってます。

 

 

 

3、自動運転車(Autonomous Vehicle)

 

■ センサー、車載用コンピューターのexpotentialな進歩がAutonomousの普及を支える

完全な自動運転は技術的には数年で可能になると言われています。問題はコストですが、センサー分野のexponentialな進歩は驚異的です。

LIDAR(センサー)の価格は$70,000 $250に

上のグラフはAutonomousに使用されるセンサーの価格推移です。

 

 

 

2000年当時、世界一の性能を誇ったASCI RED。150㎡のスペース、$46mil。

 

それが16年後には、、、

 

Autonomous制御の頭脳となるGPUプロセッサーの低価格化と小型化は驚異的。写真は2015年にNIVIDIAが発表した2.3TFGPU。価格は$59。さらに2016年には8TFGPUを発表している。

 

2000年には部屋ほどの大きさだったコンピューターの倍以上の性能のものが、今では片手で持てるほどの大きさになっています。さらに値段は100万分の1にまで低下しました。

さらに2015年、カリフォルニアの天才ハッカーGeorge Hotz氏が、後付けのAutonomousキットを999ドルで発売する、という衝撃的な発表をしました。

 

999ドルで後付けのAutonomousキットの発売を表明した天才ハッカーのGeorge Hotz氏
Hotz氏が開発した「後付け自動運転キット」

 

George Hotz本人が解説する後付けによる自動運転の動画

注)残念ながらこのビジネスはローンチを前に米国政府から販売の差し止めを命ぜられました。裁判で消耗するのを嫌ったHotz氏は自身の開発したプログラム「open pilot」を全てオープン・ソースとして2016年12月にネット上に無料公開しました

コスト的にも、完全なAutonomousが普及する下地はすでに出来上がっていると言えるでしょう。

 

 

■ Autonomousがもたらすビジネス・モデルとは?

では、そんなAutonomousがもたらすビジネス・モデルは世の中にどんな変化をもたらすのでしょうか?

その前に、すでに実現されているビジネス事例を2つ見てみましょう。

スマホで予約できるカー・シェア・サービス&ライド・シェア・サービス。クルマをオン・デマンド・サービスとして使える
広がるライド・シェアのサービス。サンフランシスコにおけるウーバー登録ドライバーの数は22,000(2015年BIデータ)に対してタクシーの数は1825台(2012年wikiデータ)とウーバーが圧倒。

カー・シェアライド・シェア。前者はレンタカーの発展形として、後者はタクシーやバズに代わる公共交通手段として米国では広がりを見せています。

 

また、自家用車を保有する際のコストに注目すると、、、

自家用車の保有は非常に非効率。平均購入価格 $31,000の資産の稼働率は4%

平均購入価格が $31,000もの資産なのに、その96%を駐車場で過ごす時間に費やしています!

ここには大きなDisruptionの下地があります。

 

次にSeba氏が示したのは、ウーバーの2015年の発表。

 

2015年、ウーバーはAuntonomousのライド・シェアの開発を発表。「ドライバーが不要になれば料金はさらに安くなる。そうすれば自家用車を所有する必然性はなくなるだろう」(ウーバーCEO)

注)2017年現在、ウーバーはサンフランシスコ、ピッツバーグなどでAutonomousサービスの試験運用を実施中です。

Autonomousのライド・シェアが格安で使えるなら、自家用車を保有する必然性はなくなります。

大手自動車メーカーもAutonomousのカー・シェア・ビジネスへの参入を表明しています。

GMはAutonomous車による区間限定のライド・シェア・サービスを計画中。
自家用車保有のコスト効率の悪さに加えAutonomousによるカー・シェア、ライド・シェアが増えれば自動車を所有する意義は大きく薄れる。自家用車保有率の8割減が見込まれる。

Seba氏;「これらのサービスと自家用車を保有する際のコストを比較して車を持たない人の数は爆発的に増えるでしょう。Autonomousによるカー・シェア、ライド・シェアの台頭で自家用車保有率の8割が消滅すると思われます。そして2030年には全ての車はEVかつAutonomousに取って代わられるでしょう」

「当然駐車場は不要になり、特に地価の高い都市部における都市計画の再構築のチャンスが訪れます」

「そうなったとき、私たちはどんな都市を望むのでしょう? 公園のようなパブリック・スペースを増やすのか。それともショッピング・モールばかりの商業施設で埋め尽くすのか?」

 

 

4、ソーラー

■ ソラー・パネルの価格低下

ソーラー・パネル(photovoltaic、またはPV)はテクノロジーです。ここでもexponentialな進化が起きており、価格は1970年との比較で1/200にまで低価格化が進んでいます。

 

1970年との比較では200分の1にまでPVの価格低下が進んでいる

 

また、PV装着率は2年で倍の増加を見せています。

PV装着は年間40%以上で増加

 

つまり、理屈の上では14年後(2016年の講演時から)には世界の全ての電力はソーラーで賄われる計算となります。

装着率が年間41%の増加のまま進めば2030年には世界の全ての電力はソーラーとなる。

でも本当にそんな世の中が到来するのでしょうか?

下のグラフは伝統的なエネルギーの価格推移を表したものです。

石油、天然ガス、石炭、原子力、全てのエネルギー価格は高くなっている。

1970年以来、全てのエネルギー価格は右肩上がりを示しています。

 

従来型のエネルギーとの価格比較を見てみます。

ソーラー発電と他の伝統的エネルギーの価格比較。圧倒的にソーラーが安い。

ソーラー発電と比較すると石油は2,110倍ですが、これは1バーレル$30での計算です(2017年11月現在WTIは約$57)。

「忘れてはならないのはソーラー・パネルはテクノロジーであってエネルギーではありません。exponential的な勢いで低価格化が進むということです」

これに加え、米国ではソーラー・パネルのリース業が盛んになってきており、顧客はお金を払うことなく自宅の屋根にパネルを設置できます。新たなビジネス・モデルの台頭です

 

 

■ Grid Parity

ドイツ銀行の試算では2017年時点では、すでに世界の8割の場所でソーラー発電の価格が、伝統的な電力会社の発電所から送電される電気より安くなることを示しています。

ドイツ銀行のレポートでは2017年には世界の8割がGrid Parity(ソーラーと電力会社提供の電気料金の分岐点)に到達する。

しかしSeba氏は「Grid Parity」は通過点に過ぎないと考えます。

「世界のどの地域であろうと、屋根の上のソーラー・パネルが発電する電気が電力会社の送電費より安くなった時が分岐点です」

従来型の発電所(Centralized Generation)は、大掛かりな設備の維持に加え、送電のコストから逃れられません。発電所で作り出された電気は送電の際に30%も失われます。

「この分岐点に達した瞬間、従来の発電所を運営する電力会社は、例えコスト0で発電しても市場競争力を失います」

「思い返してください、あらゆるテクノロジーは分岐点を迎えた瞬間、Sカーブを描いた急激な増加が起きるのです」

「私はこの分岐点を<God Parity>と呼んでいます」

 

 

Seba氏:「God Parityの到来は2020年と予想してます。Clean Disruptionは、今まさに起きつつあるのです」

 

 

 

 

以上

前編を見る

***

 

 

The outcome of the Clean Disruption is that by 2030

• All new vehicles will be electric.

• All new vehicles will be autonomous (self-driving).

• The Internal Combustion Engine will be obsolete

• The Oil industry will collapse • Coal, natural gas and nuclear will be obsolete

• 80+ per cent of parking spaces will be obsolete. • Individual car ownership will be obsolete.

• 95% of miles will be on-demand autonomous and electric (AEV), a new model called Transport-As-A-Service (TaaS)

• All new energy will be provided by solar (and wind) Clean Disruption is a technology disruption. Just like digital cameras disrupted film and the web disrupted publishing, Clean Disruption is inevitable and it will be swift.

 

今回は異例に長い紹介になってしまったことをお詫びいたします。Tony Seba氏の講演「Clean Disruption」は、その内容を正確にお伝えする価値があるものと考え、ほぼ全編を紹介させていただきました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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「クリーン革命」 The Clean Disruption – Tony Seba ①前編

 

「Clean Disruption、それはテクノロジーによる革命だ」Tony Seba氏

クリーン革命。それは避けられないし、すでに始まっている。

Tony Seba (スタンフォード大講師)

 

今回取り上げたのはスタンフォード大の講師であるTony Seba氏の講演「Clean Disruption」(2006年にスウェーデンのオスロで開催されたSwede Bank主催のNordic Energy Summitの動画より)。

Seba氏の著書「Clean Disruption of Energy and Transportation」(2014年)に沿った内容ですが、数多くの講演をこなしている方だけあって、大事な事実が非常にわかりやすく解説されています。YouTubeではいくつかの講演の視聴が可能です。現在起きつつあるエネルギーと交通の大変革を解説したものとして非常に優れたものだと思います。詳細をお伝えできるように前編と後編の2回に分けての紹介としました。

注):「Clean Disruption」を正確に訳すれば「クリーン破壊=(リニューアブル・エネルギーによる既存システムの変革)」でしょうか。 

 

■ Disruptionとは?

まずは講演の冒頭部で示された以下の写真をご覧ください。

1900年当時のニューヨーク5番街を行き来する馬車の群れ。自動車が一台走っているのを見つける事ができますか?

1900年のイースターの朝に撮られたNYC 5番街の写真ですが、大通りを行く馬車の列の中に自動車が1台走ってます。見つける事ができますか?

赤く囲まれた部分に車が1台走っていました。

 

13年後、同じ場所を撮った写真が示されます。今度は自動車の波の中に馬車が1台走っています。

1913年のNYC 5番街。車の波の中に1台の馬車。

 

Seba氏:「これがDisruptionです。Disruption自体は目新しい概念ではありません。馬は何千年もの間、我々の交通手段として使われてきました。しかし、たった13年程で都市における交通手段は自動車に取って代わられてしまったのです」

 

Seba氏は「Disruption」を以下のように定義しています。

「新たな製品・サービスによって新規にマーケットが創出される。そして、既存の製品・マーケット・産業の著しい弱体化・変容・破壊をもたらす

 

Seba氏: 「このように今までのDisruptionは、より安くて優れた商品やサービスが登場することによって引き起こされるのがパターンとなっていました」

「ところが、近年のDisruptionには従来とは異なる法則が働いているようなのです」

 

 

■ なぜ専門家は将来予測を誤るのか?

 

話は1980年代に移ります。

「1985年、当時最大のテレコミュニケーション企業であったAT&Tは、自社が開発した携帯電話の将来性に関する予測をマッキンゼー&カンパニーに依頼しました」

AT&Tの開発した携帯電話市場の将来性予測と実際の差は120倍!

「マッキンゼー&カンパニーが報告した予測は、2000年には90万人の契約者が見込まれる、というものでした」

「ところが、実際の1900年度の携帯電話契約数は1億900万人でした。マッキンゼーの予測した数字との誤差は実に120倍でした

「投資を誤ったAT&Tは自社の保有していた陸上電話網からの収益を失うだけでなく、新たに創出された2.4兆ドル市場への参入機会すら逃してしまったのです。現在IT関連のトップ15社にAT&Tの名前を見つけることはできません」

左グラフ:携帯電話契約者数の予測(黒線)と実際(赤色曲線)  右表:テレコミュニケーション関連企業の市場価格順位

この他にもKodak, Nokiaなど、市場を制覇していたような企業が姿を消している例はいくらでも見つかります。

なぜ専門家は将来予測を見誤ってしまうのか?

彼らは往々にして「そんなことは起き得ない」とか「まだ何十年も先の話だ」と、目新しいものを前にした際、往々にして誤った予測を立ててしまうのはどうしてでしょう?

Seba氏は理由を次のように解説しています;

 

「人々は、従来から親しんできたLinear(直線的)な進化は想像できても、近代テクノロジーのExponential(指数関数的)な進化と、それらのConvergence(収束)による変革をイメージする事が苦手なのです」

 

「ムーアの法則に代表されるように、コンピューター・テクノロジーは年間42%、2年で約2倍という指数関数的なカーブを描いて進歩しています。これは10年で1,000倍、20年で1,000,000倍、30年だと1,000,000,000倍です」

ムーアの法則。ICのトランジスターの数は2年で2倍に。

 

コンピュータの分野のみでなく、他に幾つものテクノロジー領域で同じようなExponetialな進歩を見出せます。

 

exponentialな進歩が顕著なテクノロジー領域

 

「Exponentialなスピードで進歩する複数領域のテクノロジー同士のconvergenceにより、人類が今までに経験しなかったようなスピードと規模の変化がもたらされるのです。シリコンバレーが多く領域でDisruptionを引き起こす理由がここにあるのです」

 

「iPhoneとアンドロイドが同じ年に発売になったのは、テクノロジーのconversionによりスマートフォンの市販が可能となったのがまさにその時期だったからです」

 

Seba氏が示す2016年時点でexponentialな進歩が顕著なテクノロジー領域は以下。

exponential な進歩が顕著なテクノロジー領域(2016年度)

 

■「Clean Disruption」

Seba氏: 「それでは、ここからはエネルギーと交通の分野にフォーカスして話を進めていきます」

4つの領域でのexponential 進歩とconvergenceが「Clean Disruption」を引き起こす。

以下の4つの領域のconvergenceが「Clean Disruption」を引き起こすます。

  1. エネルギーのストーレージ(リチュウムイオン・バッテリー)
  2. EV
  3. 自動運転車
  4. ソーラー

 

後編では、それぞれの領域で何が起きているのか、それらのconvergenceが引き起こす「Clean Disruption」とはどんなものなのか、詳細に見ていきたいと思います。

 

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後編を見る

 

 

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ソーラー発電とリチュウムイオン・バッテリーだけでアメリカのすべての電力供給は可能 - Elon Musk

ソーラー発電とリチュウムイオン・バッテリーだけでアメリカ全土の電力供給はもう可能な段階なんだよ! Elon Musk

(2015年のテスラ・エネルギー発表会動画より)

 

前回はリチュウムイオン・バッテリーの技術革新に触れましたが、今回はそれがどのような影響を世の中に与えているのかを見ていきたいと思います。

 

テスラは一般家庭向けの「パワー・ウォール」と、工場や大規模な施設のユーティリティー用の「パワー・パック」という2つのタイプのストーレージ・バッテリーを供給しています。

これはその製品発表会からのピックアップ。

壇上のイーロン・マスクは、昨今のソーラー・パネルとリチュウムイオン・バッテリーの技術革新により、化石燃料を用いる現状からの脱却が可能なことを訴えています。

下のイラストは、アメリカにおける電力需要をすべてソーラー発電に切り替えた際に必要となるソーラー・パネル総面積のイメージ。

テキサス州の左上部分、青い四角がアメリカ全土に電力供給する際に必要となるソーラー・パネルの総面積

別のプレゼンテーションでマスクは「アメリカ全土の電力を供給するのに必要なソーラー・パネルの総面積は約100マイル四方程度で十分」と言及しています。

詳細には触れられてないので計算方法は不明ですが、この数字を平方キロに換算すると約26,000平方キロ。

イラストで示されたテキサス州(総面積は約700,000平方キロ)の一角は州全体の約4%の面積となります。

アラスカとハワイを除いたアメリカ本土総面積との比較では必要とされる面積は0.003%ほど。

彼は「新たな土地を探さなくとも、既にある建物の家根にパネルを設置するだけでこの広さは獲得できるんだ」と言ってます。

この算出方法を日本に置き換えてみると、すべての電力*をソーラーで賄うのに必要な面積は約6,500平方キロという計算になります(アメリカの年間電力需要の約1/4として)。

これは栃木県や群馬県の面積とほぼ同じ位。

マスク;「ソーラー発電のネックとなっていたのは太陽は毎日沈んでしまうこと。多分みんなも気づいていると思うけど、夜間に発電はできないからね(笑)」

「だが、リチュウムイオン・バッテリーの進歩がそれを変えた。昼間に太陽光から得られた電気をバッテリーに貯めておき、日が沈んだ後はバッテリーの電気を使う。場合によっては完全にグリッド(電力会社からの送電)から独立することも可能だ」

 

以下に示されたイラストは、ソーラー発電でアメリカの全電力を賄う際に必要となるバッテリー設置面積のイメージ(赤色ピクセルひとつ分!)。

青い四角の中の赤点がリチュウムイオン・バッテリー用に必要とされる面積

マスク; 「バッテリーのために必要とされる土地など、原発の設備と比較したら大した広さではないんだ」

 

ソーラー発電とリチュウムイオン・バッテリーの組み合わせは、化石燃料を一切使わないエネルギー供給を可能とします。

マスク; 「僕たちはカーボンを大量に排出し続ける現状をいつまで続けるつもりなのだろう? 一旦排出されたカーボンは大気から取り除けない。ここから抜け出すのが早ければ早いほど良いのは明白だ」

このまま化石燃料を使い続けた場合のカーボン排出量予想
ソーラー発電とバッテリーによる再生可能エネルギーに転換した場合

 

以下マスクのプレゼンの最終部分から;

「アメリカの電力すべてを賄う際に必要とされるパワー・パックの数は1億6,ooo基。交通や冷暖房など、現在は大半が化石燃料で賄われている分野まで含めると20億基で実現可能となる」

「これは途方もない数に思えるだろう? でもトラックを含めたアメリカ全土を走る自動車の総数と同じくらいなんだ。自動車は何年かごとに新車にとって代わられている。その気になれば、これくらいの数のバッテリーを普及させるのは可能なんだよ」

「だから僕らはバッテリーに関する特許をオープンで無料にする。多くの企業がこの分野に参入してくることを望んでいる。人類が再生可能エネルギー社会へと転換するのを促進したい」

会場は大拍手。

https://youtu.be/yKORsrlN-2k?t=3m23s

動画の3’25″辺りからが今回取り上げた内容のパート

 

***

 

夢に溢れたとても良い話でしたが、ここでのマスクはソーラーパネルの効率やコスト**、それに地域によって存在するレギュレーション等には触れてません(さらには長年市場を独占していた電力会社や石油会社などの既得権益層からの反対や圧力もあります)。

マスクの話は近未来を予見させるものですが、技術・コスト・制度等、これらが揃って現実化するにはまだ少々時間がかかることでしょう。

そのスピードを速めるために特許をオープン&無料にして他の企業の参入を促進させるなんて、まことにアッパレですね。

 

***

  • Wikipediaによると、日本が2014年に消費した総電力量は 934,000,000,000KWh/。同年のアメリカの消費量は 3,913,000,000,000KWh/yで約4倍。

 

**2017年現在、ソーラーの最新技術であるPerovoskiteを用いたパネルのトップクラスは33%の発電効率を獲得しており、価格も1平方メートルあたり$105以下にコストダウンが進んでます。 さらに、46%という高効率のEpitaxially Grown Single Crystal パネルは1平方メートルあたり$40,000以上と大変高価。人工衛星等に用いられています。

Stanford大のM. McGehee教授のサイトより引用

 

***

 

以下、関連動画;

現在テスラが南オーストラリアで建設中の電力供給施設。完成すれば2017年10月現在、世界最大のリチュウムイオン・バッテリーによるストーレージ施設となるプロジェクトの紹介。発電は風力&ソーラーの併用。

 

上記のレセプション・パーティーの際に参加者のスマホで撮られた動画。マスクのプレゼンに聞き入る観客たちの熱気が伝わってきます。

 

ここまでご覧になっていただきありがとうございます!

引き続き次回も、ソーラー・パネルとリチュウムイオン・バッテリーの進歩がどんな風に世の中を変えていくのか、そんな部分を見ていきたいと思います。

 

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テスラとパナソニックの出会い

テスラ創業者の2人。左から Martin Eberhard, Marc Tarpenning,

「テスラが成功するかどうか、その鍵はバッテリーにあったんだ」(M.E)

テスラ創業者の2人、マーチン・エバーハード&マーク・ターペニングの講演から

 

今回はスタンフォード大学がネット上に無料で提供している起業セミナー動画からのピックアップです(録画は2016年10月)。

今やEV時代の先端を走るテスラですが、2003年に同社を設立した際の創立メンバーがここに登場しているマーティン・エバーハードマーク・ターペニングの2人でした。

テスラを設立する以前、彼らはNuvoMediaという会社を設立し、「Rocket eBook」という商品名の最初期の電子書籍デバイスとシステムを開発しました(余談ですが、このデバイスを成功に導いたひとつの要因が、日本企業であったシャープが当時開発した最新のDMTNいう液晶技術があったからだそうです。スタートアップ時に彼らはこの液晶技術を確認するために日本にやってきています)。

Marc Tarpenning のプレゼン資料より;Rocket eBookを手に持つ若かりし頃のMartin Eberhard

「Rocket eBook」を開発する過程で、彼らはリチュウムイオン・バッテリーに出会い、その将来性を確信していました。

リチュウムイオン・バッテリーの優れた点としてマーティンがここで列挙したのは

  • 90%以上というエネルギー効率の良さとエネルギー密度の高さはEVのパワー源として他の選択肢を大きく凌ぐ
  • 原料となるリチュウムはほぼ無限と言えるほど豊富に存在し、なおかつ安価。一番コストのかかるのはコバルトだが代替素材の開発も進んでいる。
  • 寿命が尽きた後も素材のリサイクルが可能。すべての分子はそのまま残っている。化石燃料は燃焼後には二酸化炭素となって大気に放出され失われてしまい燃料タンクは空になる。

2000年3月にNuvoMediaをTV Guide社へ1億8700万ドルで売却した後、彼らが選んだ次の仕事がクルマ作りでした。

マーチンは「僕はクルマ好きとは正反対のような人間だったんだよ」と断った上で、なぜクルマ作りを選んだのか、その理由を述べています。

  • 地球温暖化の抑制
  • アメリカの石油消費の半分以上はクルマの燃料。
  • アメリカの外交政策への不満。アメリカ政府は絶対に認めないが、中東の不安定な状況は石油が原因だと皆が知っている。
  • このような状況に皆が困っている。持続可能エネルギーへの転換という目標と手段が明白に見えていた。
Mark Tarpenningのプレゼン資料より。 アメリカにおける石油消費の50%以上が自動車によるもの。

テスラのサクセス・ストーリーは別の機会に紹介するつもりですが、ここで興味深かったのはバッテリーに関する部分でした。

EVを生産するに当たって一番重要なのがバッテリーの確保でした。彼はここで当時の思い出話しをします。

日本の大手電気メーカーとの交渉の思い出を話すMartin Eberhard

マーティン; 「テスラが成功するかどうか、その鍵を握るのがバッテリーなのは明白だった。日本の大手電機メーカーに商談に行った際(社名を挙げてはいませんがパナソニックと推測されます)、驚いたの生産の決定権はアメリカのレップ(営業)でもなければ、ましてや本社のCEOでもなく、工場の責任者が掌握しているんだ。だから僕らは日本の工場の責任者に会いに行った」

「僕らがひとしきりの説明を終えると、工場長の彼は興味なさそうに、『我々はすでに採算ギリギリのラインで生産しており手一杯なんです。自動車業界のコスト締め付けの厳しさは良くわかっているつもりです。申し訳ありませんが要望を受け入れる余裕はありませんね』と我々との取引を断ろうとしたんだよ」

「そこで僕はこう言ったんだ、『いいですか、現在あなた方が顧客ひとりあたりに売っているリチュウムイオン・バッテリーの数はどれくらいでしょう?ラップトップPCが良くて2台、DVDプレーヤーとか、それらを含めても20~30個、良くて50個程度でしょう? 私が言っているのはひとりあたりに8,000個が売れる話なんですよ。市場規模がこんなに拡大するチャンスを他に思いつきますか?』。彼はすぐに考えを変えてくれたよ(笑)」

テスラのバッテリー・モジュール部分。パナソニック製ですね。

1台のテスラ・ロードスターが搭載するリチュウムイオン・バッテリーはラップトップPCの1,200〜1,300台分に相当。

現在テスラはアメリカのネヴァダ州にGiga Factoryと名付けた世界最大のリチュウムイオン・バッテリー工場を建設しています(パナソニックも経営参画してます)。

建設途中の段階にありながらすでに稼働を始めていますが、100%完成したのちには、現在世界で生産されているリチュウムイオン・バッテリーの総量を上回る生産をこの工場ひとつで実現してしまいます。

テスラは今後もGiga Factoryの建設をニューヨーク州やヨーロッパ、そして中国などに展開していく予定だそうです。

EVの台頭と共にリチュウムイオン・バッテリーの需要が爆発的に増えていくことが見込まれており、それによって開発競争が加速され、今後は急速にバッテリーの品質と性能が向上していくことが予想されています。

マーチン; 「従来のリチュウムイオン・バッテリーは2〜3年で寿命となっていた。でもそれは用途がラップトップPCやカメラなど、デバイス自体が2年ほどで次世代機に取って代わられるようなものに使われていたからだ。あえて電池寿命を延ばす必要性がなかった」

「だがこれからは違う。EVに用いられるようになると各電池メーカーは必死になって電池寿命を延ばす研究を始める。コストもどんどん下る。すでにそれは始まっているんだ」

 

講演の最終部で彼はこう付け加えています。

「世の中にとって正しいことをやれば、利益は後からついてくるんだよ」

 

次回はそんなバッテリー性能の向上が何をもたらすかを探ってみたいと思います。

 

***

 

*現CEOのイーロン・マスクは当初は投資エンジェルとしてテスラ・モーターズ(当時の社名)創業の翌年の2004年から筆頭株主として経営参画しました。

この時の従業員数はまだ5名でした。

マーク・ターペニングは他の講演でイーロン・マスクとの出会いについて以下のような話をしています: 「創業してまもない頃、資金集めのためにシリコン・バレーのベンチャー投資家たちに電気自動車を作る話をした途端、僕らは<イカれたヤツら>って思われてまともに話を聞いてくれなかったんだ」

「イーロンは当時もエンジェル投資家としてシリコン・バレーでは名前が知れ渡っていた。彼はロケットを打ち上げる会社を興していたんだ(後のスペースX)。つまりそのときに僕らの前で話を聞いていた投資家は、僕らの遥か上をいく<イカれたヤツ>だったわけ(笑)」

「話を聞き終えたイーロンは『オーケー、その話、乗った』と即答したよ」

イーロン・マスクがCEOとして就任するのは2008年。

 

 

 

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Space X – 1度の打ち上げで10基の衛星を軌道に配置

Space X が打ち上げた衛星は一度に10基!

 

日本時間で2017年10月10日の午前、国産ロケットH2Aが衛星打ち上げに成功しましたが(おめでとうございます!)、現地時間でその前日の9日、カリフォルニアのバンデンバーグ基地から民間企業であるSpace Xはイリジュウム3の打ち上げに成功しており、一番コストのかかる1段目のブースター・ロケット部分は打ち上げから7分少々後に無事に帰還しています。

イリジュウムは今回1回の打ち上げで10個(!)の衛星を計画された軌道に配置したようです。

10基の衛星を積み込んだ2段目ロケットは軌道を回りながら100秒ごとに1基の衛星を放出し、そこから衛星は若干の高度を上げて周回軌道につきます。10基すべての衛星を配置する作業は15分で完了します。

今回で3回目、2018年中頃までにあと数回の打ち上げてを行い、バックアップも含め全部で81基の衛星を軌道に乗せる予定。そのうち75基がSpace Xによって打ち上げられるそうです。

IRIDIUM社 Matt Desch氏によるイリジュウム・システム解説部分(14’00″より)

 

今回の成功でトータル30基が軌道に配置さた事になり、81基の配置が全て完了すれば地球上どこでも常時GPS、電話、その他コミュニケーションが可能となるそうです。

特筆すべきは、この衛星システムは常時、地球表面上のあらゆる部分をカバーするので、どこでもコミュニケーションが可能となる事。

例えば、極寒の吹雪の中、わざわざテントを出て小高い丘に上がって衛星を捉えるような行為は一切不要になる、と動画でも解説しています。

打ち上げの瞬間

 

プレスキット;
http://www.spacex.com/sit…/spacex/files/iridium3presskit.pdf

打上げの動画とイリジュウムのPR動画;
http://www.spacex.com/webcast

***

以下、私感ですが;
1段目のブースターロケット部の回収技術を持たない日本のロケットではコスト面で商業衛星打上げビジネス市場で戦うのは厳しいのでは?

これらの比較はおろか、日本のマスメディアはSpace XもTeslaSolar CityBoring Co.も何も詳細を伝えていないように思います。

でも、現代の「モノづくり」というのはこういうものを指すのではないでしょうか?

彼らは盛んに「モノづくり」という言葉を一種のバズワードのように使いますが、どうもそこでイメージされている世界観には、下町の鉄工所で年季の入ったガンコ職人が旋盤回して手先の器用さと体に染み込んだ感覚や技術を発揮して神業のような仕事ぶりを実現して欧米人の鼻を明かす、なんて想いが限りなく漂っているように思えてしまうのが残念です。

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Teslas Everywhere / テスラが溢れる街、ノルウェー・オスロ ー EV最先端都市事情

 EV先進国ノルウェイ紹介
Vox

テスラが溢れるEV先進都市 − ノルウェー・オスロのEV事情の紹介。

 

アメリカのブログサイト「VOX」が2017年6月にアップしたノルウェー・オスロにおけるEV事情の紹介動画の解説です。

アメリカからやってきたVOXレポーターのJohnny Harris氏がオスロの街を散策しながら、何故ノルウェーでテスラが大人気なのか?その理由を探ります。

***

 

先日、Nissanが新たなEV車を発表し、そのCMで謳われている「自動運転」の呼称に問題があるとか無いとか、なんて話題がネットを賑わせているようですが、EV車の普及を社会インフラや政策と一環のものとして捉えた場合、ノルウェーの事例は大いに参考になると思い、今回はこの動画を取り上げました。

以下概要:

「僕の人生でテスラを目にしたのは今まで(アメリカ国内では)たった5台きり。そのうちの3台はショールームの中に展示してあるやつだった。それなのにここ(オスロ)を歩き回った2時間ですでに50台ほど目にした。驚いたよ!」

以下、ハリス氏が歩きながら述べるノルウェーにおけるテスラの販売データ;

  • 2014年には月間売上台数でNo.1。これはEVのみでなく車全カテゴリー中の1位。
  • 販売台数の割合は2016年の数字ではテスラが29%ものシェアを獲得している。3月単月では37%とシェアを上げている。
  • 翻ってアメリカでのテスラ車の割合は1%にも満たない*。

(ここで彼は持参のドローンを飛ばしてオスロの街の空撮映像を紹介)

「ノルウェイはダム等による水力発電で99%の電力を賄っている。よって発電コストも安価なんだよ」

「テスラのみならずEVが街に溢れている。ナンバープレートの冒頭に’E’の文字があるのがEVだ」

ノルウェーではEVはナンバープレートの冒頭文字が ’E’ となっているので簡単に識別できる

 

「一番肝心なのは政策。EV推進のためのインセンティブ付与を国策として進めていることだ」

EV推進のためのインセンティブは以下;

  • 公営駐車場におけるEVの駐車料金はタダ
  • 公営の充電施設での充電料金タダ
  • HOVレーン(High Occupancy Vehicle=乗員が2名以上の車両のみが走れる優先レーン)を乗員1名のときでも走行可能
  • 車両登録料タダ
  • 所得税の優遇制度
  • 消費税(Sales Tax)全額免除

 

(余談:動画でこの辺りで紹介されるグラフィティの「Even Thugs Cry(悪党だって泣く時がある)」はラップMCの故2pacwhen Thugs Cry 」からの引用と思われます。曲の歌詞は非情な世に対する怒りがテーマとなってるようです)

ここでハリス氏はEV車に充電する街の人にインタビューを行います(動画は4’05″近辺)。

EV優遇政策
「オスロの街中に設置されている2,000箇所のチャージ・ステーショは全て無料なんだ」

ハリス氏;「ここが、今回僕が見つけた一番のお気に入りの場所、EV車用チャージ・ステーションだ。オスロ市中に2,000箇所も設置されているんだよ。利用中の街の人にちょっと話を聞いてみようか」

街の人:「オスロの街中に設置してあるEV車用のチャージ・ステーションは全て無料なんですよ。その上、有料道路の通行料もタダになるんです」

***

 

なんだか素晴らしい制度ですね。これだけの社会インフラの資金はどこから捻出されているのでしょう?

それは「Sovereign Wealth Fund (国富ファンド – 以下SWF)」と呼ばれる政府系ファンドの存在です。

ノルウェーのSWFは2017年現在で約1兆ドルと世界最大です。このファンドがインフラやインセンティブ政策を可能にしている訳です。

ファンドの資金はノルウェーが石油や天然ガスを売って儲けたお金。実は北海油田を持つノルウェーは世界第14位(2016年度統計)の産油国なんですね。また、近年は天然ガスの比率が増えているようです。(下の産出量推移グラフの緑色が石油、赤色がガス)

出典:Norwegian Petroleum Oil and Gas Production

 

 

動画の総括部でハリス氏は、「グリーン化の資金の出所が石油やガスなどCo2を排出する<オイル・マネー>に頼っているのは矛盾してない?」との疑問を投げかけます。

「ノルウェーがやっているのは、自国で化石燃料を燃していないだけで、結局は石油やガスは売られた先で燃やされる。自国のグリーン化推進が、実は他国への化石燃料の輸出で進められているんだ。この矛盾を彼らはどう捉えているのか、ノルウェイの友人に訊いて見ようか」

グリーン化は化石燃料を売った金で進められている。そこに議論の余地はある事はノルウェイ人も意識している。

友人談:「そうだねぇ、中国やインドなどの発展途上国では石油やガスはまだまだ必要とされているしねぇ。なるべくグリーン化に沿った採掘とかって感じかなぁ。化石燃料を売ってグリーン化を進めていることに議論の余地があるのは僕らも認識しているよ。でも何もやらないよりマシだろう?」

 

ハリス氏は最後に、「夢のように思えたグリーン化、グリーン・インフラ、グリーン社会の紹介だったけど、それは<オイル・マネー>によるもの。結局は世界全体を化石燃料から脱却させる解答ではない事が判ったと思う。それが今回の結論」と動画を締めくくります。

 

***

再度余談ですが、以前テスラの創立者であるイーロン・マスク氏が何かのインビューの中で、一番多くのテスラを買ってくれている個人はノルウェーの人なんだ。彼は眼科医なんだけど、一人で7台ものテスラを保有している。EVを広める目的で、誰もが乗りたい時に乗れるように試乗の機会を開放しているんだよ」と言っているのを思い出しました。この話、ノルウェーという国の民度の高さがうかがい知れるように思いました。

レポーターのハリス氏が動画で指摘している「化石燃料がグリーン化への資金になっているのは矛盾」という指摘は理解できますが、僕から見れば潤沢な資金が国民全体の富の総量を増やす目的に使われている事実は羨ましい限りです。

日本は世界有数の債権国なのに、稼いだお金はどこに行ってしまうのでしょうか?

 

 

*アメリカ国内でもイーロン・マスク氏の進める、一般には奇想天外に思えた各種ビジネスは当初既存勢力からかなり叩かれていました。テスラに関しては現在も州によって販売ができない法的枠組みで販売を拒まれているようです。

*ノルウェイは世界第14位の産油国  出典:Global Note ;   https://www.globalnote.jp/post-3200.html

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