アリババのTmall Genie が中国市場でメルセデス、アウディに搭載

メルセデス、アウディ、ボルボ、中国でアリババのスマート・アシスタントと提携しホームエレクトロニクスとの連携を計画。

 

2018年4月24日のBloomeberg電子版記事より

https://www.bloomberg.com/…/alibaba-gets-its-smart-assistan…

Amazon Alexaの中国版、「Tmall Genie」ー 2017年7月に中国での発売&サービス開始がされ現在までに2,000,000台が売れていると言われているスマート・スピーカー。

このボイス・コントロールシステムをダイムラー、フォルクスワーゲン、ボルボの親会社 Z Gらが中国で販売する車両への搭載を予定。

オーナーの音声認識をし、ナビやカーオーディオはもとより、走行中の車の状態の把握、窓の開閉、ドアロック、空調などのコントロールを行うようです。

それ以外でも、例えば車の位置を把握し、帰宅時には自宅との距離が近づくと自宅の冷暖房をスタートさせ風呂を準備したり、、、など色々なサービスを考えているみたいです。

「オフィス、自宅、そして車に乗っている時間も重要な生活環境として捉える」とはアリババ開発担当者の談。

蓄積されていく膨大なデーターとAIによる自己学習&進化

益々便利になる反面、これによって利益を享受できる人々はほんの一握りと言われています

「データの覇者が世界の覇者」が益々現実味を帯びてきているようです。

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「クリーン革命」 The Clean Disruption – Tony Seba ②後編

Tony Seba      https://tonyseba.com

2030年までに、すべてのエネルギーと自動車・交通システムは根底から変革される。

Tony Seba(スタンフォード大講師)

 

前編ではテクノロジーのexponential(指数関数的)な進化と、それらの convergence(収束)が現代のDisruptionを引き起こす話をしました。

後編ではエネルギーと交通の分野において、それそれのexponentialな進化と、それらのconvergenceがどのような Disruptionを引き起こすのかを詳細に見ていきます。

 

 

■「Clean Disruption」を支える4つの領域
「Clean Disruption」を支える4つの領域でのexponential 進歩とconvergence
  1. エネルギーのストーレージ
  2. EV
  3. 自動運転車
  4. ソーラー

1、エネルギーのストーレージ

■リチュウムイオン・バッテリーの需要拡大がコスト・ダウンと性能の向上を加速している

Seba氏: 「リチュウムイオンバッテリーのコストは1995年から2010年頃までの15年間にわたって毎年14%ずつ安くなっていました」

「2009年頃を境に自動車業界とエネルギー業界がリチュウムイオン・バッテリーをストーレージとして使用し始めると、需要と投資の拡大によって2010年から2014年のコストカーブは年間16%減に向上しました。最近はさらにそれが加速されています」

2009年頃を境に自動車とエネルギー・ストーレージにリチュウムイオン・バッテリーが使われ始めるとコスト・ダウンのスピードは年間-14%から-16%に加速された

そのコスト・カーブのイメージは以下のグラフになります。

リチュウムイオン・バッテリーのコスト・カーブ

リチュウムイオン・バッテリー以外の他の方式を試みても、このコスト・カーブを凌駕するものでなくては淘汰されてしまいます。

 

TeslaのGiga Factory。この工場一つで世界で生産されていたリチュウムイオン・バッテリーの総量を上回ってしまう
米ネヴァダ州に建設中のテスラのギガ・ファクトリー。

2017現在、テスラがネヴァダ州に建設中のギガ・ファクトリーが完成すると、この工場ひとつの生産量それまで世界で生産されていたリチュウムイオン・バッテリーの総量を上回ります(まだ完成はしてませんがすでに稼働を開始しています)。

原料のリチュウムはネヴァダ州周辺で採掘され、そのまま工場に運び込まれてバッテリーが製造されます。それは同じ工場で生産されるTesla Model3に搭載されて完成車となり出荷されます。

原料の加工から最終的な製品であるEVの出荷までをワン・ストップで行うことによるコスト・ダウン効果は約30%〜50%。

さらにはバッテリー性能も毎年5%づつの向上が期待できるとイーロン・マスクは公言しています。

テスラと、それ以外の企業も含め、大規模な工場が世界各地で建設されつつあります

 

Tesla Power Wall / Power Pack。 すでにコスト・カーブ予想を上回る性能を実現している

加えて、Teslaが販売する個人宅用のバッテリー・ストーレージPower Wallは$350/kWh 、業務用のPower Packになると $250/kWhを実現しており、Seba氏のコスト・カーブ予想を上回る性能をすでに2016年時点に実現しています。

 

 

■ ストーレージ・サービス  新たなビジネスモデルがDisruption をもたらす

リチュウムイオン・バッテリーのコスト・ダウンと性能向上は新たなビジネス・モデルによるDisruptionを生み出します。

リチュウムイオン・バッテリーによるストーレージ・サービス。ピーク時の電力をストーレージから賄えば電力会社が請求する電気料金よりも電気代を低く抑えることが可能になった。

自宅や店舗にリースで設置したストーレージ・サービスの台頭により、電気代金の安い夜間に電気を貯めておき、電気代の高い昼間に蓄電した電気を使うビジネスが成長しています。

従来の電力会社(Centralized Generation)が設定する電気料金は、顧客が普段使用する電気の総量のみでなく、ある瞬間に消費するピーク電力の大きさによって料金体系が段階的に決定されています。

普段はあまり電気を使わなくても、たった1回でも瞬間的に大きな電力を消費する場合は高い料金レートが適用されてしまいます。

バッテリーによるストーレージを使えば、電気料金の安い夜間に蓄電しておき、ピーク電力が必要な際にはバッテリーから供給される電気を使うことで電気料金を安く抑えることが可能になります。

上の図は、アメリカにおけるバッテリー・ストーレージ利用の際の電気代の比較(月間)。

濃い線で囲まれた部分は、2020年には24時間すべてバッテリー・ストーレージによる電力供給を行なった際の価格が$36.8になることを表しています。

例として、アリゾナ州の電力会社の供給する電気料金との比較が述べられています。

アリゾナ州公営の電力会社の料金は、昼間のピーク時は$49.5ですが夜間は$0.05と圧倒的に安くなります。

バッテリー・ストレージは約4時間の充電で翌日の電力を賄えます。料金の安い夜間電力を使えば、上の表の単価で計算すると1日の電気代は$0.2(20セント)。ひと月の電気代がたった$6.00強で済んでしまうことになります。

さらに、このビジネル・モデルが普及すると、以下の理由から従来型の電力会社は業態を大きく変えざる負えなくなります。

電力会社の発電施設は年間のピーク時の最大需要に合わせた規模で建設されています。でも、実際にピークの最大電力需要が発生するのは年間通じてもほんのわずかの時間です。

発電施設の稼働状況。フル稼働するのはほんのわずかの時間。

上の図は、発電能力がピークに近い13,189MWから9,000MWの間を赤色の四角で囲ってあり総出力の32%程になります。

縦軸が発電出力、横軸が時間なので、68%以上に発電施設を稼働させている時間は年間で517時間、5.9%程です。

上のグラフの拡大。赤色で囲った四角の部分は年間で517h。ピーク時の13,001MW~13,189MWの出力を行なっている時間はわずか7h。発電施設はこの7hのピーク電力を生み出す規模の設備を維持する必要があります。

 

遠隔地にある発電所から電気が送られてくる際、電線等の抵抗により約30%の電力が失われています。これらのコストはすべて電気料金に上乗せされています。

自宅の屋根に設置したソーラー発電と組み合わせれば、送電ロスもほとんど問題になりません。

このように、リチュウムイオン・バッテリーの進歩とコストダウンと、それによって新たに登場したバッテリー・ストーレージ・サービスは、従来型の電力会社の存在を根底から揺さぶりはじめているのです。

 

 

2、EV

2013年、米モーター・トレンド誌が選んだその年のベスト・カーとしてTesla Model Sが選ばれました。EVという枠に限定したものではなく、その年に登場したあらゆる車の中からModel Sが選ばれたのです。

Tesla Model S
Tesla Model Sは 2013年度の「カー・オフ・ザ・イヤー」に選ばれました。得点は100点満点中の103点

つまり、トップ・クラスのEVの性能はガソリン・エンジンを積んだ高性能車を凌駕するレベルに達しています。

問題となるのは価格で、最下位グレードのModel S 75でも米本国価格で$69,500(2017年現在)、最上位グレードの Model S P100D はフル装備で$160,000 という大変高価なクルマです。最上位グレードを日本で購入しようとすると約2千万円近い予算が必要です(Teslaは2017年より本国価格で約$35,000の「一般ユーザーにも手の届く」価格帯のModel 3の予約発売を開始しています)。

 

Seba氏は、以下のグラフで一般ユーザーにもEVが買いやすい価格にまで下がる時期の予測をしています。

EVのコスト・カーブ。2020年にはEVは米国のガソリン・エンジン車の平均的価格を下回る。

Seba氏:「一般的米国人の新車購入価格の平均は約$33,000です。2020年にはEVの価格はそれを下回ります。ポルシェ911の性能がビュイック(アメリカのカローラ?)の値段で手に入るのです」

「内燃機関(Internal Combustion Engine、 略してICE)で走る車はエンジンやトランスミッションなどの可動部品が2,000以上あります。EVの可動部品は極端に少ない。よってメインテナンス・コストは比較にならないほど安く済みます

 

■ EVがICE車を凌駕する理由は以下の4点+1

  1. エネルギー効率の良さ(ICE: 17.2% 、EV: 90~95%)
  2. 燃料代の安さ。EVはICE車の1/10
  3. 機械部品点数が少く維持費が安い
  4. 走行性能、特にゼロからの発進加速が圧倒的に優れている

充電インフラの拡充。Teslaや日産が展開するチャージ・ステーションの拡大。特にTeslaの展開しているチャージ・ステーション「Super Charger」は米国内止まらず、ヨーロッパや中国などを中心に世界の主要都市で急速に数を増やしています。2017年現在、米国のTeslaは自社の顧客に対してSuper Chargerの使用を無料としています。

*補足)イーロン・マスクは「エンジンを積まないEVは車体のフロント部分を緩衝部として使える。そのため、衝突の際の安全性は通常のICE車と比較すると圧倒的に高まっている」と言ってます。

 

 

 

3、自動運転車(Autonomous Vehicle)

 

■ センサー、車載用コンピューターのexpotentialな進歩がAutonomousの普及を支える

完全な自動運転は技術的には数年で可能になると言われています。問題はコストですが、センサー分野のexponentialな進歩は驚異的です。

LIDAR(センサー)の価格は$70,000 $250に

上のグラフはAutonomousに使用されるセンサーの価格推移です。

 

 

 

2000年当時、世界一の性能を誇ったASCI RED。150㎡のスペース、$46mil。

 

それが16年後には、、、

 

Autonomous制御の頭脳となるGPUプロセッサーの低価格化と小型化は驚異的。写真は2015年にNIVIDIAが発表した2.3TFGPU。価格は$59。さらに2016年には8TFGPUを発表している。

 

2000年には部屋ほどの大きさだったコンピューターの倍以上の性能のものが、今では片手で持てるほどの大きさになっています。さらに値段は100万分の1にまで低下しました。

さらに2015年、カリフォルニアの天才ハッカーGeorge Hotz氏が、後付けのAutonomousキットを999ドルで発売する、という衝撃的な発表をしました。

 

999ドルで後付けのAutonomousキットの発売を表明した天才ハッカーのGeorge Hotz氏
Hotz氏が開発した「後付け自動運転キット」

 

George Hotz本人が解説する後付けによる自動運転の動画

注)残念ながらこのビジネスはローンチを前に米国政府から販売の差し止めを命ぜられました。裁判で消耗するのを嫌ったHotz氏は自身の開発したプログラム「open pilot」を全てオープン・ソースとして2016年12月にネット上に無料公開しました

コスト的にも、完全なAutonomousが普及する下地はすでに出来上がっていると言えるでしょう。

 

 

■ Autonomousがもたらすビジネス・モデルとは?

では、そんなAutonomousがもたらすビジネス・モデルは世の中にどんな変化をもたらすのでしょうか?

その前に、すでに実現されているビジネス事例を2つ見てみましょう。

スマホで予約できるカー・シェア・サービス&ライド・シェア・サービス。クルマをオン・デマンド・サービスとして使える
広がるライド・シェアのサービス。サンフランシスコにおけるウーバー登録ドライバーの数は22,000(2015年BIデータ)に対してタクシーの数は1825台(2012年wikiデータ)とウーバーが圧倒。

カー・シェアライド・シェア。前者はレンタカーの発展形として、後者はタクシーやバズに代わる公共交通手段として米国では広がりを見せています。

 

また、自家用車を保有する際のコストに注目すると、、、

自家用車の保有は非常に非効率。平均購入価格 $31,000の資産の稼働率は4%

平均購入価格が $31,000もの資産なのに、その96%を駐車場で過ごす時間に費やしています!

ここには大きなDisruptionの下地があります。

 

次にSeba氏が示したのは、ウーバーの2015年の発表。

 

2015年、ウーバーはAuntonomousのライド・シェアの開発を発表。「ドライバーが不要になれば料金はさらに安くなる。そうすれば自家用車を所有する必然性はなくなるだろう」(ウーバーCEO)

注)2017年現在、ウーバーはサンフランシスコ、ピッツバーグなどでAutonomousサービスの試験運用を実施中です。

Autonomousのライド・シェアが格安で使えるなら、自家用車を保有する必然性はなくなります。

大手自動車メーカーもAutonomousのカー・シェア・ビジネスへの参入を表明しています。

GMはAutonomous車による区間限定のライド・シェア・サービスを計画中。
自家用車保有のコスト効率の悪さに加えAutonomousによるカー・シェア、ライド・シェアが増えれば自動車を所有する意義は大きく薄れる。自家用車保有率の8割減が見込まれる。

Seba氏;「これらのサービスと自家用車を保有する際のコストを比較して車を持たない人の数は爆発的に増えるでしょう。Autonomousによるカー・シェア、ライド・シェアの台頭で自家用車保有率の8割が消滅すると思われます。そして2030年には全ての車はEVかつAutonomousに取って代わられるでしょう」

「当然駐車場は不要になり、特に地価の高い都市部における都市計画の再構築のチャンスが訪れます」

「そうなったとき、私たちはどんな都市を望むのでしょう? 公園のようなパブリック・スペースを増やすのか。それともショッピング・モールばかりの商業施設で埋め尽くすのか?」

 

 

4、ソーラー

■ ソラー・パネルの価格低下

ソーラー・パネル(photovoltaic、またはPV)はテクノロジーです。ここでもexponentialな進化が起きており、価格は1970年との比較で1/200にまで低価格化が進んでいます。

 

1970年との比較では200分の1にまでPVの価格低下が進んでいる

 

また、PV装着率は2年で倍の増加を見せています。

PV装着は年間40%以上で増加

 

つまり、理屈の上では14年後(2016年の講演時から)には世界の全ての電力はソーラーで賄われる計算となります。

装着率が年間41%の増加のまま進めば2030年には世界の全ての電力はソーラーとなる。

でも本当にそんな世の中が到来するのでしょうか?

下のグラフは伝統的なエネルギーの価格推移を表したものです。

石油、天然ガス、石炭、原子力、全てのエネルギー価格は高くなっている。

1970年以来、全てのエネルギー価格は右肩上がりを示しています。

 

従来型のエネルギーとの価格比較を見てみます。

ソーラー発電と他の伝統的エネルギーの価格比較。圧倒的にソーラーが安い。

ソーラー発電と比較すると石油は2,110倍ですが、これは1バーレル$30での計算です(2017年11月現在WTIは約$57)。

「忘れてはならないのはソーラー・パネルはテクノロジーであってエネルギーではありません。exponential的な勢いで低価格化が進むということです」

これに加え、米国ではソーラー・パネルのリース業が盛んになってきており、顧客はお金を払うことなく自宅の屋根にパネルを設置できます。新たなビジネス・モデルの台頭です

 

 

■ Grid Parity

ドイツ銀行の試算では2017年時点では、すでに世界の8割の場所でソーラー発電の価格が、伝統的な電力会社の発電所から送電される電気より安くなることを示しています。

ドイツ銀行のレポートでは2017年には世界の8割がGrid Parity(ソーラーと電力会社提供の電気料金の分岐点)に到達する。

しかしSeba氏は「Grid Parity」は通過点に過ぎないと考えます。

「世界のどの地域であろうと、屋根の上のソーラー・パネルが発電する電気が電力会社の送電費より安くなった時が分岐点です」

従来型の発電所(Centralized Generation)は、大掛かりな設備の維持に加え、送電のコストから逃れられません。発電所で作り出された電気は送電の際に30%も失われます。

「この分岐点に達した瞬間、従来の発電所を運営する電力会社は、例えコスト0で発電しても市場競争力を失います」

「思い返してください、あらゆるテクノロジーは分岐点を迎えた瞬間、Sカーブを描いた急激な増加が起きるのです」

「私はこの分岐点を<God Parity>と呼んでいます」

 

 

Seba氏:「God Parityの到来は2020年と予想してます。Clean Disruptionは、今まさに起きつつあるのです」

 

 

 

 

以上

前編を見る

***

 

 

The outcome of the Clean Disruption is that by 2030

• All new vehicles will be electric.

• All new vehicles will be autonomous (self-driving).

• The Internal Combustion Engine will be obsolete

• The Oil industry will collapse • Coal, natural gas and nuclear will be obsolete

• 80+ per cent of parking spaces will be obsolete. • Individual car ownership will be obsolete.

• 95% of miles will be on-demand autonomous and electric (AEV), a new model called Transport-As-A-Service (TaaS)

• All new energy will be provided by solar (and wind) Clean Disruption is a technology disruption. Just like digital cameras disrupted film and the web disrupted publishing, Clean Disruption is inevitable and it will be swift.

 

今回は異例に長い紹介になってしまったことをお詫びいたします。Tony Seba氏の講演「Clean Disruption」は、その内容を正確にお伝えする価値があるものと考え、ほぼ全編を紹介させていただきました。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

XX

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「クリーン革命」 The Clean Disruption – Tony Seba ①前編

 

「Clean Disruption、それはテクノロジーによる革命だ」Tony Seba氏

クリーン革命。それは避けられないし、すでに始まっている。

Tony Seba (スタンフォード大講師)

 

今回取り上げたのはスタンフォード大の講師であるTony Seba氏の講演「Clean Disruption」(2006年にスウェーデンのオスロで開催されたSwede Bank主催のNordic Energy Summitの動画より)。

Seba氏の著書「Clean Disruption of Energy and Transportation」(2014年)に沿った内容ですが、数多くの講演をこなしている方だけあって、大事な事実が非常にわかりやすく解説されています。YouTubeではいくつかの講演の視聴が可能です。現在起きつつあるエネルギーと交通の大変革を解説したものとして非常に優れたものだと思います。詳細をお伝えできるように前編と後編の2回に分けての紹介としました。

注):「Clean Disruption」を正確に訳すれば「クリーン破壊=(リニューアブル・エネルギーによる既存システムの変革)」でしょうか。 

 

■ Disruptionとは?

まずは講演の冒頭部で示された以下の写真をご覧ください。

1900年当時のニューヨーク5番街を行き来する馬車の群れ。自動車が一台走っているのを見つける事ができますか?

1900年のイースターの朝に撮られたNYC 5番街の写真ですが、大通りを行く馬車の列の中に自動車が1台走ってます。見つける事ができますか?

赤く囲まれた部分に車が1台走っていました。

 

13年後、同じ場所を撮った写真が示されます。今度は自動車の波の中に馬車が1台走っています。

1913年のNYC 5番街。車の波の中に1台の馬車。

 

Seba氏:「これがDisruptionです。Disruption自体は目新しい概念ではありません。馬は何千年もの間、我々の交通手段として使われてきました。しかし、たった13年程で都市における交通手段は自動車に取って代わられてしまったのです」

 

Seba氏は「Disruption」を以下のように定義しています。

「新たな製品・サービスによって新規にマーケットが創出される。そして、既存の製品・マーケット・産業の著しい弱体化・変容・破壊をもたらす

 

Seba氏: 「このように今までのDisruptionは、より安くて優れた商品やサービスが登場することによって引き起こされるのがパターンとなっていました」

「ところが、近年のDisruptionには従来とは異なる法則が働いているようなのです」

 

 

■ なぜ専門家は将来予測を誤るのか?

 

話は1980年代に移ります。

「1985年、当時最大のテレコミュニケーション企業であったAT&Tは、自社が開発した携帯電話の将来性に関する予測をマッキンゼー&カンパニーに依頼しました」

AT&Tの開発した携帯電話市場の将来性予測と実際の差は120倍!

「マッキンゼー&カンパニーが報告した予測は、2000年には90万人の契約者が見込まれる、というものでした」

「ところが、実際の1900年度の携帯電話契約数は1億900万人でした。マッキンゼーの予測した数字との誤差は実に120倍でした

「投資を誤ったAT&Tは自社の保有していた陸上電話網からの収益を失うだけでなく、新たに創出された2.4兆ドル市場への参入機会すら逃してしまったのです。現在IT関連のトップ15社にAT&Tの名前を見つけることはできません」

左グラフ:携帯電話契約者数の予測(黒線)と実際(赤色曲線)  右表:テレコミュニケーション関連企業の市場価格順位

この他にもKodak, Nokiaなど、市場を制覇していたような企業が姿を消している例はいくらでも見つかります。

なぜ専門家は将来予測を見誤ってしまうのか?

彼らは往々にして「そんなことは起き得ない」とか「まだ何十年も先の話だ」と、目新しいものを前にした際、往々にして誤った予測を立ててしまうのはどうしてでしょう?

Seba氏は理由を次のように解説しています;

 

「人々は、従来から親しんできたLinear(直線的)な進化は想像できても、近代テクノロジーのExponential(指数関数的)な進化と、それらのConvergence(収束)による変革をイメージする事が苦手なのです」

 

「ムーアの法則に代表されるように、コンピューター・テクノロジーは年間42%、2年で約2倍という指数関数的なカーブを描いて進歩しています。これは10年で1,000倍、20年で1,000,000倍、30年だと1,000,000,000倍です」

ムーアの法則。ICのトランジスターの数は2年で2倍に。

 

コンピュータの分野のみでなく、他に幾つものテクノロジー領域で同じようなExponetialな進歩を見出せます。

 

exponentialな進歩が顕著なテクノロジー領域

 

「Exponentialなスピードで進歩する複数領域のテクノロジー同士のconvergenceにより、人類が今までに経験しなかったようなスピードと規模の変化がもたらされるのです。シリコンバレーが多く領域でDisruptionを引き起こす理由がここにあるのです」

 

「iPhoneとアンドロイドが同じ年に発売になったのは、テクノロジーのconversionによりスマートフォンの市販が可能となったのがまさにその時期だったからです」

 

Seba氏が示す2016年時点でexponentialな進歩が顕著なテクノロジー領域は以下。

exponential な進歩が顕著なテクノロジー領域(2016年度)

 

■「Clean Disruption」

Seba氏: 「それでは、ここからはエネルギーと交通の分野にフォーカスして話を進めていきます」

4つの領域でのexponential 進歩とconvergenceが「Clean Disruption」を引き起こす。

以下の4つの領域のconvergenceが「Clean Disruption」を引き起こすます。

  1. エネルギーのストーレージ(リチュウムイオン・バッテリー)
  2. EV
  3. 自動運転車
  4. ソーラー

 

後編では、それぞれの領域で何が起きているのか、それらのconvergenceが引き起こす「Clean Disruption」とはどんなものなのか、詳細に見ていきたいと思います。

 

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後編を見る

 

 

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Teslas Everywhere / テスラが溢れる街、ノルウェー・オスロ ー EV最先端都市事情

 EV先進国ノルウェイ紹介
Vox

テスラが溢れるEV先進都市 − ノルウェー・オスロのEV事情の紹介。

 

アメリカのブログサイト「VOX」が2017年6月にアップしたノルウェー・オスロにおけるEV事情の紹介動画の解説です。

アメリカからやってきたVOXレポーターのJohnny Harris氏がオスロの街を散策しながら、何故ノルウェーでテスラが大人気なのか?その理由を探ります。

***

 

先日、Nissanが新たなEV車を発表し、そのCMで謳われている「自動運転」の呼称に問題があるとか無いとか、なんて話題がネットを賑わせているようですが、EV車の普及を社会インフラや政策と一環のものとして捉えた場合、ノルウェーの事例は大いに参考になると思い、今回はこの動画を取り上げました。

以下概要:

「僕の人生でテスラを目にしたのは今まで(アメリカ国内では)たった5台きり。そのうちの3台はショールームの中に展示してあるやつだった。それなのにここ(オスロ)を歩き回った2時間ですでに50台ほど目にした。驚いたよ!」

以下、ハリス氏が歩きながら述べるノルウェーにおけるテスラの販売データ;

  • 2014年には月間売上台数でNo.1。これはEVのみでなく車全カテゴリー中の1位。
  • 販売台数の割合は2016年の数字ではテスラが29%ものシェアを獲得している。3月単月では37%とシェアを上げている。
  • 翻ってアメリカでのテスラ車の割合は1%にも満たない*。

(ここで彼は持参のドローンを飛ばしてオスロの街の空撮映像を紹介)

「ノルウェイはダム等による水力発電で99%の電力を賄っている。よって発電コストも安価なんだよ」

「テスラのみならずEVが街に溢れている。ナンバープレートの冒頭に’E’の文字があるのがEVだ」

ノルウェーではEVはナンバープレートの冒頭文字が ’E’ となっているので簡単に識別できる

 

「一番肝心なのは政策。EV推進のためのインセンティブ付与を国策として進めていることだ」

EV推進のためのインセンティブは以下;

  • 公営駐車場におけるEVの駐車料金はタダ
  • 公営の充電施設での充電料金タダ
  • HOVレーン(High Occupancy Vehicle=乗員が2名以上の車両のみが走れる優先レーン)を乗員1名のときでも走行可能
  • 車両登録料タダ
  • 所得税の優遇制度
  • 消費税(Sales Tax)全額免除

 

(余談:動画でこの辺りで紹介されるグラフィティの「Even Thugs Cry(悪党だって泣く時がある)」はラップMCの故2pacwhen Thugs Cry 」からの引用と思われます。曲の歌詞は非情な世に対する怒りがテーマとなってるようです)

ここでハリス氏はEV車に充電する街の人にインタビューを行います(動画は4’05″近辺)。

EV優遇政策
「オスロの街中に設置されている2,000箇所のチャージ・ステーショは全て無料なんだ」

ハリス氏;「ここが、今回僕が見つけた一番のお気に入りの場所、EV車用チャージ・ステーションだ。オスロ市中に2,000箇所も設置されているんだよ。利用中の街の人にちょっと話を聞いてみようか」

街の人:「オスロの街中に設置してあるEV車用のチャージ・ステーションは全て無料なんですよ。その上、有料道路の通行料もタダになるんです」

***

 

なんだか素晴らしい制度ですね。これだけの社会インフラの資金はどこから捻出されているのでしょう?

それは「Sovereign Wealth Fund (国富ファンド – 以下SWF)」と呼ばれる政府系ファンドの存在です。

ノルウェーのSWFは2017年現在で約1兆ドルと世界最大です。このファンドがインフラやインセンティブ政策を可能にしている訳です。

ファンドの資金はノルウェーが石油や天然ガスを売って儲けたお金。実は北海油田を持つノルウェーは世界第14位(2016年度統計)の産油国なんですね。また、近年は天然ガスの比率が増えているようです。(下の産出量推移グラフの緑色が石油、赤色がガス)

出典:Norwegian Petroleum Oil and Gas Production

 

 

動画の総括部でハリス氏は、「グリーン化の資金の出所が石油やガスなどCo2を排出する<オイル・マネー>に頼っているのは矛盾してない?」との疑問を投げかけます。

「ノルウェーがやっているのは、自国で化石燃料を燃していないだけで、結局は石油やガスは売られた先で燃やされる。自国のグリーン化推進が、実は他国への化石燃料の輸出で進められているんだ。この矛盾を彼らはどう捉えているのか、ノルウェイの友人に訊いて見ようか」

グリーン化は化石燃料を売った金で進められている。そこに議論の余地はある事はノルウェイ人も意識している。

友人談:「そうだねぇ、中国やインドなどの発展途上国では石油やガスはまだまだ必要とされているしねぇ。なるべくグリーン化に沿った採掘とかって感じかなぁ。化石燃料を売ってグリーン化を進めていることに議論の余地があるのは僕らも認識しているよ。でも何もやらないよりマシだろう?」

 

ハリス氏は最後に、「夢のように思えたグリーン化、グリーン・インフラ、グリーン社会の紹介だったけど、それは<オイル・マネー>によるもの。結局は世界全体を化石燃料から脱却させる解答ではない事が判ったと思う。それが今回の結論」と動画を締めくくります。

 

***

再度余談ですが、以前テスラの創立者であるイーロン・マスク氏が何かのインビューの中で、一番多くのテスラを買ってくれている個人はノルウェーの人なんだ。彼は眼科医なんだけど、一人で7台ものテスラを保有している。EVを広める目的で、誰もが乗りたい時に乗れるように試乗の機会を開放しているんだよ」と言っているのを思い出しました。この話、ノルウェーという国の民度の高さがうかがい知れるように思いました。

レポーターのハリス氏が動画で指摘している「化石燃料がグリーン化への資金になっているのは矛盾」という指摘は理解できますが、僕から見れば潤沢な資金が国民全体の富の総量を増やす目的に使われている事実は羨ましい限りです。

日本は世界有数の債権国なのに、稼いだお金はどこに行ってしまうのでしょうか?

 

 

*アメリカ国内でもイーロン・マスク氏の進める、一般には奇想天外に思えた各種ビジネスは当初既存勢力からかなり叩かれていました。テスラに関しては現在も州によって販売ができない法的枠組みで販売を拒まれているようです。

*ノルウェイは世界第14位の産油国  出典:Global Note ;   https://www.globalnote.jp/post-3200.html

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プーチン大統領:「AIを制するものが世界を制覇する」

AIを制するものが世界を制覇する。AIがもたらす未来には無限の可能性と予測不能の脅威が潜んでいる。

V.プーチン

 

9月1日、新学期を迎えたロシアの学生たちに向けた公開授業が衛星中継を介して放映されました。

壇上に登場したプーチン大統領は学生たちに向けて「AIが未来を切り開く」と発言

「AIが未来を切り開く。一番最初にマスターした者が世界を牛耳ることになるでしょう」

「AIが切り開く未来はロシアのみならず、全人類がその恩恵に授かるべきです。途方ない可能性とともに、そこには予測不能な脅威が潜んでいます。この分野のリーダーとなる者が世界を制覇するでしょう」

さらにプーチン大統領は「この力(AI)が何者かに独占されてしまうのは望ましくありません。もしロシアがリーダーとなれば、私たちはノウハウを全世界と分かち合うつもりです」

45分間のセッションの中で(学校の授業の一環として放映された)、プーチン大統領は宇宙、医学、人間の脳の可能性に関するディスカッションを行い、特に認知科学の重要性を指摘したそうです。

「眼球の動によってコンピューターを操作する事が可能となるかもしれない。さらには、宇宙空間も含め、極限状況下における人間の行動分析なども可能です。これらの領域における研究は無限の可能性を秘めています」

この日のオープン・クラス放送には16,000の学校から生徒や教師が参加し、トータルの視聴者は100万人を超えたそうです。

AI分野でのイニシアチブを睨みながら、自国の学生たちを鼓舞して優秀な研究者の育成に注力しているのが伺えるようですね。

https://youtu.be/fnJinlR-XTc

 

この放送の後、Elon Musk氏はTwitterで以下のようつぶやいています。

以下、イーロン・マスク氏のつぶやき意訳:

「やはり始まったね」

「中国、ロシア、さらには、優秀なコンピューター・サイエンスを有するすべての国々がこの競争に近く参入してくる。AIの優位性を巡っての国家レベルでの競争が第三次世界大戦の引き金となる可能性が非常に高い。僕はそう見ている」

 

上のツイートへの回答としてマスク氏は、「国家のリーダーの意思によって戦争が起きるとは限らない。どこかのAIの判断で<先制攻撃が勝利への最良の手段>という解が選択される可能性もあり得る」とツィートしています。

彼は以前にも「AIによる自動化された兵器は、戦争における第3の革命だ。最初は火薬、次に核兵器、そしてAIにコントロールされた自動兵器と指摘していました。

 

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Khan Academy – 第一次世界大戦にアメリカが参戦した理由 – 後編

カーン・アカデミー主宰のS. カーン氏

カーン・アカデミー動画:「世界史-20世紀-アメリカの第一次世界大戦参戦」から、アメリカが参戦した理由の考察 (後編)。

 

前編では、アメリカの参戦理由の考察をしました。

今回は、議会で参戦を訴えるウィルソン大統領の演説と、参戦に反対の意を唱えたG・ノリス上院議員の演説内容にスポットを当てます。

まずは前編で解説されたウィルソン大統領の演説内容の要約の確認から;

1、ドイツ潜水艦による無差別攻撃への非難

2、ツィンメルマン電報

3、全人類の民主主義の守り手として戦う義務がある

以上が参戦を促す理由でした。1の「潜水艦による無制限攻撃によって多数のアメリカ市民が死亡した」という事実と、特に3の「民主主義を守るため」という部分を何度も強調しています。

原文; https://www.khanacademy.org/humanities/world-history/euro-hist#american-entry-world-war-i

 

 

次に、議会でアメリカの参戦反対を唱えたジョージ・ノリス議員の演説を詳細に見てみます(意訳にて要約を書き出しましたが、ニュアンスの確認等を含め、機会があればぜひ原文もご確認ください。原文; https://www.khanacademy.org/humanities/world-history/euro-hist/american-entry-world-war-i/a/1917-speech-by-senator-george-norris-in-opposition-to-american-entry )

 

以下、ノリス議員の演説の要約;

ノリス議員は冒頭で「参戦には反対するものの、決議で参戦となれば喜んで祖国のために尽力する」と自身の決意を表明してから参戦反対の意を唱えます。

1、ウイルソン大統領が参戦の理由とされたドイツ潜水艦による無制限攻撃によるアメリカ市民の犠牲と、ドイツが設定した交戦海域(war zone)が国際法上違法であるという主張だが、最初に交戦海域の設定を宣言したのはイギリスである。

  • イギリスは1914年11月4日に交戦海域を宣言。実効を翌日の11月5日からとした。海域は北海全域であった。
  • 翻ってドイツの交戦海域の宣言は 1915年2月4日。イギリスの宣言から3ヶ月後であり、実施は15日後の2月18日からであった。
  • ドイツの設定した交戦海域はイギリス海峡周辺とブリテン諸島周辺公海にみだった。
  • 本来アメリカは、両国が国際法に違反していると抗議できるにもかかわらず、イギリスの主張する交戦海域は認め、ドイツの主張は違法であると非難をしている。実際は両者とも国際法に違反している。

 

2、アメリカの選択肢は3つ

  • イギリス、ドイツ、両国とも国際法を違反しているのを理由に、両国に宣戦布告をする。
  • 正義の解釈を歪曲し、一方を拒絶し、他方を黙認する。
  • 両国が国際法違反をしているのを非難しながらも黙認し、中立の立場を維持。アメリカ船籍の船主たちには自己責任でこの海域を航行する旨を警告。

 

3、G・ノリス議員が提案した「4つ目の選択肢」

  • まずアメリカは両国に対して禁輸処置を施行する。
  • イギリスは程なくして物資不足となり、アメリカの説得に応じて北海からの機雷撤去の勧告を受け入れるであろう。
  • ドイツ側の北海に面した港が使えるようになれば(イギリス側の機雷による封鎖が解除されるので)、アメリカからの物資を受け入れることが可能になる(当時アメリカはドイツ側とも貿易や融資を行なっていた)。そのためには潜水艦による無制限攻撃の停止を条件とすれば、ドイツはこれを承認すると推測される。

 

4、偏見と利権−国民は誤った方向に導かれている

  • 多大なる数のアメリカ国民が戦争に参加する義務があると信じているようだ。だが、この戦いの中でイギリスもドイツも同程度の非人道的な行いをしている。同情心と金銭欲が人の判断を誤らせる。
  • 我々が当初から厳格に中立性を維持できていたなら戦争参加の瀬戸際に立つことはなかったであろう。
  • イギリスの主張する交戦海域は認めながらドイツの主張は違法だと非難するのは、アメリカが中立国の立場を捨て去ることを意味する。

 

5、アメリカの中立維持を望まない層の存在

  • アメリカには自国の中立維持を望んでいない層が存在する。彼らは参戦による利益機会を狙う利己的な人々だ。
  • これらの権益層が参戦を推進している。
  • 多くの実直で愛国的な国民は欺かれ、この真実を知らない。ドイツとの戦争を開始するべきだと信じこまされたままに大統領を支持している。
  • この戦争で我々は連合軍側に莫大な融資をしている*。投資利益の最大化を狙い一般国民のセンチメントを参戦に向けて操ろうとする階層が存在しても不思議ではないはずだ。
  • 国民感情を参戦の機運に向かわせる目的で、彼らは多数の大新聞やニュース・メディアをコントロール下に置き、前例のないほどの規模でプロパガンダを展開している(a large number of the great newspapers and news agencies of the country have been controlled and enlisted in the greatest propaganda that the world has ever known to manufacture sentiment in favor of war.)
  • これはアメリカ国民を総動員して軍需物資を紛争諸国に送り届けるための決議だ。参戦となれば、武器製造業者やウォール・ストリートの投資家たちにはさらなる利益が舞い込むことになる。
  • このように、大統領は人為的に操られた国民感情をバックに議会に参戦を呼びかけている。

 

6、証券会社(ウォールストリート)の市場予測の紹介

ノリス議員はここでニューヨーク証券取引所の会員が投資家に宛てた報告書(市場動向の予測)を読み上げます。

  • 市場は参戦を好機と捉えてる。
  • 日本、及びカナダは参戦によって未曾有の好景気の波が押し寄せている。
  • 参戦と同時に株価高騰が予測される。
  • 中立維持の場合は経済は停滞するだろう。
  • その際には戦争に向けた準備や軍備増強への投資が、実際に参戦した際に期待された利益分の補完となるであろう。

 

7、何のために、そして誰のために戦う戦争なのか?

  • 月給$16でライフルを担いで塹壕に伏せ命を捧げる兵士でもなければ、戦死した夫を持つ未亡人でもない。息子の死を嘆く母親でもない。寒さや飢えに苦しむ子供たちでもない。 戦争は大多数の愛国的で一般な市民には何の繁栄ももたらさない。
  • 戦争はウォール・ストリートのギャンブラーたちに恩恵をもたらす–彼らはすでに巨万の富を手にしているのだ。そして彼らは戦争になったとしても自らが塹壕に伏せる階層ではない
  • 戦争や軍備増強は金儲けの手段となっている。人の命を犠牲にすることをウオール・ストリートは意に介さない。犠牲となる人々は、ここで得られる莫大な利益とは無縁の階層だ。
  • ウオール・ストリートの連中が徴兵されることもなければ、ましてや兵役に志願することもないだろう。
  • この決議でアメリカが参戦することになれば幾万もの国民や同胞の犠牲を強いる結果を招く。

 

*参考資料:第一次世界大戦に参戦する前のアメリカの融資額: 大戦当初、アメリカの紛争諸国への輸出量は開戦以前の3倍に膨れ上がっていた。ほどなくしてイギリス・フランス連合国の資金は払底しアメリカの融資が始まった。1917年度のアメリカの対イギリス・フランス貸付額は 約22.5億ドル。対ドイツ融資は2,700万ドル。対イギリス・フランス融資額と対ドイツ融資額の比率は83:1。出典:http://www.digitalhistory.uh.edu/disp_textbook.cfm?smtID=2&psid=3476

***

 

カーン・アカデミー主宰で動画のナレーターでもあるS・カーン氏はここで視聴者に向かって「ウィルソン大統領と、反対を唱えたノリス議員の演説原稿の全文をサイトに掲載してあります。是非、是非、是非(「I highly, highly, highly recommend~」と3回も繰り返し)とも読み比べることを勧めます。そして自分自身で判断してください」と強く訴えています。

 

以下は私見ですが、ウィルソン大統領の唱える「自由を守る」「民衆主義を守る」「世界の人民のために戦う」という勇ましいスローガンと、ノリス議員の「戦争で権益を享受する階層が戦争を推進している」という訴えを見比べると、すでに第一次世界大戦から100年ほどの年月を経てはいますが、今の世界の状況との類似点を見出せるように思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

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Khan Academy – 第一次世界大戦にアメリカが参戦した理由 ー 前編

奥の男性がカーン・アカデミー主宰のS. カーン氏

カーン・アカデミー動画:「世界史-20世紀-アメリカの第一次世界大戦参戦」から、アメリカが参戦した理由の考察 (前編)。

 

引き続き、カーン・アカデミーの教育動画の紹介です。

今回は「世界史・20世紀・アメリカの第一次世界大戦参戦(United States enters World War I / The 20th century / World History /)」を取り上げます。

非常に濃い内容なので前編と後編の2つに分けての紹介です。

1914年に始まった第一次世界大戦当時、アメリカはイギリス・フランスの連合国側へ多大な援助はしていたものの、ヨーロッパにおける戦争に直接参加することからは距離を置き中立の立場をとっていました(枢軸側へも若干の援助をしていました)。

1916年に第28代アメリカ大統領として再選を果たしたW・ウィルソンは、選挙時の公約であった<ヨーロッパの戦争への不参加>から立場を一転、1917年4月2日に開かれた議会にてアメリカの参戦を呼びかけます。

結果は民主党・共和党の枠を越え開戦賛成派が大多数を占め、2日後に決議通過、6日にはアメリカはドイツに宣戦布告をします。

ウィルソンの演説内容は、それまでヨーロッパでの紛争から距離を置いてきたアメリカが参戦しなければいけない理由を述べています。

その理由は;

1、ドイツ潜水艦による無差別攻撃。1915年のルシタニア号事件(イギリスの客船ルシタニア号がドイツ潜水艦によって撃沈され、128人のアメリカ人乗客が死亡)が有名。

2、ツィンメルマン電報事件。1917年、ドイツ帝国の外務大臣ツィンメルマンがメキシコ政府に送った暗号文書がイギリスに傍受された事件。内容は、アメリカが参戦した場合にドイツとメキシコが同盟を結びアメリカと戦い、戦争勝利後にはアメリカの領土を分割する提案だった。これがイギリス側に傍受されアメリカ政府に伝えられ、アメリカ国内の新聞等で発表された。

3、ベルギー侵攻でのドイツ軍による残虐行為(Belgium Atrocity)。1914年の開戦当時、ドイツはフランス侵攻に先駆けて中立国であったベルギーを侵攻。その際にドイツ軍による民間人への残虐行為があったされた。イギリスはこれをアメリカ国民の感情を参戦に向かわせるためのプロパガンダとして使用した。

4、ウィルソンが最も力説したのは、民主主義のために戦うというイデオロギーによる国民感情の鼓舞だった。枢軸側であったドイツ帝国もオーストリア・ハンガリー帝国も専制君主制の国家だった。連合軍側は、イギリスは王政ではあったが実態は民主主義制の形をとっており(英連邦の中で投票権のある国民にとっては)、フランスは民主主義国家であった。よってウィルソンは「アメリカが戦うのは人民のため」という大義を掲げた。

この後カーン氏は「では、別の角度から少々シニカルな見方も考えてみよう」とギアを切りかえます。

ここでは、アメリカが参戦した理由として以下の事実に焦点が当てられます;

1、イギリスとアメリカの間には金融面での強い繋がりがあった。1913年にウイルソンが承認して設立された連邦準備銀行が中心となり、アメリカはイギリス・フランスに莫大な融資をしていた。

2、イギリスによる非常に効果的なプロパガンダ展開。アメリカ国民の参戦へのセンチメントを高める目的でイギリスはアメリカ国内で盛んにプロパガンダを展開しました。ツィンメルマン電報事件や、ベルギー侵攻でのドイツ軍による一般市民への残虐行為や、ルシタニア号事件を祝うドイツ国民の様子を伝え、アメリカ国民にドイツに対する怒りを植え付けることに成功(ベルギー侵攻時の残虐行為は事実とされるが、ルシタニア号撃沈を喜ぶ一般ドイツ国民というのはイギリス側の捏造報道であったとしている)。

3、戦争で利益を得る層からの議会に対する(参戦を促す)ロビー活動。カーン氏はここで「すべての戦争がそうであるように、戦争の真の目的がここにある。アメリカが参戦すれば、兵器や軍需物資の大量注文が舞い込んで儲ける層が存在する。さらにはウォール街の投資家たちだ。すでに彼らは巨額の資金を連合国側に貸し付けていたので連合国側が負けると大損をすることになり、彼らはそれを避けたかったのだ」と解説しています。

カーン氏はこのあと、ウイルソン大統領の議会演説と、当時の議会では少数派となった参戦反対の意を唱えたG.ノリス上院議員の演説内容の比較しています。

これも非常に興味深い内容なので、よろしければ引き続き後編もご覧ください。

–以下、後編へ−

 

 

 

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アメリカが戦争を起こす際のパターン分析 ー カーン・アカデミー教育動画「世界史 / 20世紀」より

カーン・アカデミー、「冷戦期におけるアメリカの軍事介入のパターン分析」動画紹介

 

カーン・アカデミーの教育動画が優れていることをご存知の方は多いと思います。

3,000本以上存在する閲覧無料の動画クリップは数学や物理にとどまらず、化学・芸術から金融など、多岐にわたる分野がカバーされてます。

今回は歴史の分野からの紹介。

正式には「世界史−20世紀−冷戦期のアメリカ軍事介入パターン(Patten of US Cold War interventions / The 20th century / World history /)」

世界史−20世紀の歴史~ではこの動画以前にも、冷戦(Cold War)朝鮮戦争キューバ・ミサイル危機ピッグス湾事件ベトナム戦争などが詳細に解説されています。

ここではその総集編として、それぞれの軍事介入に共通するパターンに関する言及がなされています。

冒頭にカーン・アカデミーの主宰者であり、大半の動画のナレーションを自ら執り行っているサルマン・カーン氏の言葉が素晴らしいです。

「いいかい、歴史を学ぶ際には事実とされている事柄も含め、全てを疑ってかかるように。 この動画で僕が言う事も含めてね! なぜなら歴史とは生き残った者によって編纂された記録だ。実際には裏で何が起こっていたかは誰にも分からない。

「大事なのは、その説明に納得できるか、ということ。だから僕が今からここで言うことをただ鵜呑みにしてはいけないよ。自分の頭で考えて納得できればそれで良い。そうじゃなければ納得できる解釈を自分自身で探し出すことが大切なんだ」 

 

この動画で彼が解説している内容を以下に要約してみました。

ここでは朝鮮、キューバ、ベトナムを事例に、冷戦期のアメリカの軍事介入のパターン解説がされています。

1、アメリカの軍事介入が始まる以前、これらの国はすべて他国によって占領状態、もしくは隷属状態にあった。ex) 朝鮮は実質的には日本の植民地だった。キューバはバティスタ政権の独裁体制下にあったが実態はアメリカの植民地状態だった。ベトナムはフランスの植民地だった。

2、その状況下では支配層や、それらと癒着して潤う少数の特権階級と、搾取される大多数の一般国民というふたつの階級に分断される。当然、一般国民の体制や政治に対する不満が高まる(真っ当なやり方で財を築く者も存在はしていたが、とも述べられています)。

3、すると独立運動への機運が芽生える。「宗主国や、ひと握りの特権階級に独占されている富を公平に社会に分配しよう!それが社会正義である!」–この考え方は共産主義のイデオロギーとピッタリ一致する。

4、キューバではフィデル・カストロ、ベトナムではホー・チ・ミンが独立運動の推進者として登場。朝鮮は多少事情が異なっており、すでに共産主義者による独立運動は存在していた。キム・イル・ソンはリーダーというよりも、当時共産主義運動をバックアップしていたソ連による後押しが強かったと思われる。

5、そして彼らは企業を国有化し、私有財産の没収と再分配などを標榜する。すると外国企業やそこで私財を築いていた特権階級が駆逐されることになる。

6、欧米の大資本にとってこれはマイナス。また、地政学的にアメリカがソ連に敗退することを意味するので「オーケー、じゃ方程式の反対側に立って力を均衡させなきゃ」とばかりに朝鮮ではシングマン・リー、ベトナムではディエム政権、キューバでは当初はバティスタ、そしてキューバ亡命者を支援して共産勢力との戦いを推進しようする。これらの人物はどれも皆あまり人望があるとは思われない連中だった。

7、ここでSK氏の個人的見解が挿入されます: ケネデイー政権当時、政策決定のためにケネディー側に提供されるキューバのカストロに関するアメリカの内部情報はかなり歪められていたように思える。実際のカストロは非常に人気があり、彼が行なった経済政策も富の再分配を実現していた。

8、以上、冷戦期のアメリカの軍事介入には共通するパターンが見受けられる。そのどれもが失敗、もしくは膠着状態のままで終わっている。ここで得られる教訓は重要だ。

***

SK氏はかつてMITで数学とコンピューター・サイエンスを専攻し、その後ヘッジ・ファンドのアナリストの職に就いた経験のある人。そのせいか、ここでの歴史分析もちょっと数学的な香りを感じます。

教科書的な史実の無味乾燥な暗記に始終するのではなく、背景に流れていた人々の思惑のようなものを把握しようとするアプローチは、より豊かな教養として歴史を認識できるように思います。

他にも興味深いコマがザクザク見つかりますので、ぜひチャンスを見つけてもう2〜3編の紹介してみたいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

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イーロン・マスク「AIの進歩は大量失業時代の到来。ベーシック・インカムの導入が必要となる」

「AIの進歩は大量失業時代の到来を意味する。ある種のユニバーサル・ベーシック・インカム制度の導入が不可避となるだろう。

「でも、産業経済活動から不要とされた人々が大量に発生する時代に、人は生きる意味をどこに見出せば良いのか?」
         
           ↓

「脳とコンピューターの融合に解決のヒントがある」−EM

 

 

***

 

3回連続でEMのインタビューですが、大変興味深いのでまたひとつ。

2017年の2月にドバイで開催された湾岸諸国の首長や政府関係者向けと思われるWorld Government Summitというカンフェレンスでの発言から。

モデレーターが、「この場にいる各国政府関係者へ、未来に向けたアドバイスを3つ挙げてください」という問への答え。

最初の2つに関しては、すでに広く認識されている事実を復唱しているようにEMは話します;

1、AI開発の管理。人々に危害を与えないように政府が監視すること。

2、20~30年で自動運転が大勢を占める世の中になる。現在の3倍の電気が必要となる。それだけの電気が供給できる体制の準備。

と、ここまでは一般的に理解されている部分。しかし、

3、来たるべく大量失業にどう対応するのか? 答えはユニバーサル・ベーシック・インカム制度の導入。他に選択肢はないと思う。

人間にできて機械やロボットにできない仕事はほとんど無くなる。僕はそれを望んでいる訳ではない。ただ、そういう世界の到来が多分避けられない、と考えている。

AIによる生産物は大変優れたクオリティーのものがふんだんに供給されるようになる。値段も飛躍的に下がる(AI/ロボットに課税し、それをユニバーサル・ベーシック・インカムの財源にする。それでも企業は十分な利益を得られる、としています)。

しかし一番難しいのは、その状況で人々は生きる意味をどこに見出すのか?という部分です。多くの場合、人は職業に自身の生きる意味を見出している。この部分への対応を考えなくてはいけない。私たちが直面する大変難しい問題となるでしょう。

我々が望むような、希望の持てる世界を創って行くにはどうすれば良いのか?

 

***

 

ここでEMは話題を「脳とコンピューターの融合」へ振ります。

1、ちょっとSFみたいな話になるけど、人はすでに第三レイヤーの脳を獲得している。それは一種のデジタル・サイボーグともいえる。
大脳辺縁系(感情や動物的本能を司る部分)、大脳皮質(思考や計画)、そして第3階層としてデジタル・レイヤーの存在。

彼が例として揚げたのが; 「グーグルで瞬時に何かを調べたり、地球の裏側の人と話をしたり、死んだあともSNSやEメールは残り、あなたの痕跡(ghost)は生き続ける」

2、我々はコンピューターをキーボード、またはタッチ・パッドでコントロールしているが、現状のスピードは非常に遅いもの。普通で10bit/sec、大目にみても100bit/secが限界だろう。

でもコンピューターは兆bit/sec単位でコミュニケートする。

生体(脳)とコンピューターとのインターフェースの伝達帯域幅が飛躍的にアップすることで、コンピュータと人間の共生や、コントロールの問題、無用性の問題、それらへの解決の糸口が見つかると思います。

(ちょっと「お気軽」な感じのモデレーター氏、言葉を失って、、、「あーむ」と唸り声)

EM: 多分に深遠な内容で恐縮ですけど、、、。

 

***

 

最後の部分をどう捉えれば良いのか、、、、。

本来ならこのお気楽モデレーター氏は「コントロールとはどういう意味ですか?」と訊くべきだと思うのですが、意図してなのか単に興味が無いのか話の方向を変えてしまいました。残念。

コントロールと無用性への解決策、という言葉から想像されるのは、キャメロン・クロウの映画「Vanilla Sky」 のような人工冬眠カプセルで眠らせて、希望通りの人生を生きている夢を見させる会社の話。

そうなると、近未来では失業者はカプセル行き?
大量の人々がカプセルの中で眠りながら、夢の世界で生きる時代の到来。

もし、EMがこの場でほのめかした解決策へのヒントがこんな方面を向いていたのだとしたら、、、ちょっと怖いですね。

(すでにイーロン・マスク氏は2016年に設立されたNeuralinkの創立メンバーのひとりとして名を連ねており、この会社は脳とコンピューターとの融合を研究しているそうです)

 

(抜粋部分は動画の22m35s辺りから)

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AIは人類が直面する最大のリスク – 2 (イーロン・マスク)

「ひとたびAI開発の現状が認識されれば、人々は大変な恐怖を感じるだろう。それほど深刻な状況なのです(EM)」

***

先の投稿に続いて、同じNGA会議(全米州知事連合?)の最終日のElon Muskの「AIの脅威」に関する応答から、興味深い部分をもうひとつ抜粋しました。

 

***

 

アリゾナ州知事の質問:「まだ何ものと判断もつかない分野(AI)で、我々(政治家)はどのようにして規制基準を設けていけば良いのか?」

以下、EMの応答:

1、まず現状認識だ。現在のあなた方はそれすらできていない。

2、チェック機関の設立。目的はAI開発の現状を認識し評価すること。

3、そして規制の導入、簡単な事です。

 

そして彼は以下を付け加えます。

4、当然、AI企業は反対するだろう。僕の会社は反対しないけどね。彼らは、そんな事をしたら進歩が止まるだの、中国へ逃げ出すだの、タワゴトを言いだすだろう。でも実際には彼らはそんな事をしません。ボーイングが米国から出ていったか?出てないですね、アメリカ国内にとどまってます。自動車産業だって同様。
規制をかけると規制のゆるい国外へ逃げる、なんていうのは非常に高慢な態度だと思います。

 

最後にEMが言ったのは:

5、目的は政府レベルでの注意喚起(awareness)です。ひとたび「awareness」が向けられれば、人々は大変な恐怖を覚えるはず。

それ程、深刻な状況なのです。

 

以上
(抜粋画面は動画の1h20m44s辺りから)

 

***

 

以下、完全な私感で大変恐縮なのですが、メディアやビジネス・ニュース等で取り上げられる「AI」は、それいけ乗り遅れちゃいけないビジネスチャンス的に、一種のバズワードとなっています。

でも、この分野の最先端に身を置くEM氏の頭はすでに何光年も先を見据えているかのようです。

イーロン・マスク氏も共同設立者として昨年(2016年)立ち上げられたNeuralink(2016設立)は脳とコンピューターの融合を研究する会社。

どうせこの分野で悪が台頭するのなら、自分たちが先頭を走ることにより、台頭してくる悪を抑え込もうとしているのかもしれません。

 

以上
(抜粋画面は動画の1h20m44s辺りから)

 

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